Bear Chair. AP-19(PP-19)



内部構造

・フレーム

ビーチ材(ヨーロッパブナ)などの無垢材を使用した堅牢な骨格をしています。熟練の職人による接合されたフレームは、長年の使用にも耐える堅牢さを持ちます。着座時に一番負荷のかかる後ろ脚はアーム部の見えないところまで1本の無垢材が使用されています。アーム部分(爪)や脚部にはローズウッド材、チーク材、オーク材、ウォールナット材などが使用されています。

見えないところまでこだわりを感じる構造。後ろ脚の長い無垢材がアーム部まで伸びています。

・スプリング
背面には現代でも高級家具に使われるポケットコイルスプリングが内蔵されています。荷重に応じて一つひとつのスプリングが独立して動きます。これにより体圧を分散しながら安定したサポートを実現します。背のコイル数は43個(ヘッド部は横1列に7個コイル、縦6連、1列に6個コイルが仕込まれています。)コイルの線径は2種で、太く固いコイルは、腰あたりになる下から2番目と3番目まで仕込み、それより上は柔らかめのコイルが使用されています。

・天然繊維のクッション材

馬毛(ホースヘア):弾力性と通気性に優れた馬毛がクッション層に使用されており、沈みすぎず、しっかりと体を支えます。
パームファイバー(ヤシ繊維):自然な硬さと復元力があり、ヘタリにくく、フォーム材との間に使用されることで、弾力のバランスを調整しています。

職人のこだわり
ベアチェアはAP-Stolenで製造がはじまり、PP moblerにて生産が引き継がれていますが、AP-Stolenの時代からフレームはPP mobler が下請けで製造をしていました。ある日ウェグナーがPP moblerの工房を訪れた際にベアチェアが張りぐるみの際に見えなくなるところまで、継ぎ目や仕上げを綺麗に仕上げていることに驚いていました。通常見えないところは綺麗に仕上げる必要がないからです。ウェグナーはよく「これでいいとは言われたくない。いいものか、ゴミか、どちらかだ」と言っていました。PP moblerのアイナー・ペデルセンもウェグナーと同じ気持ちでした。ベアチェアは家具製作への真摯な気持ちから、見えない背もたれや内部も見える部分と同じように繊細に仕上げられています。

現行品とヴィンテージの違い
AP-Stolen製とPP mobler製ではサイズの違いがあります。PP mobler製の方が若干大きく作られており、これは平均身長の向上に伴う変更のようです。また技術的な変更もあります。爪の部分はAP-Stolenは2つの無垢材を接合していましたが、PP moblerは接着することなく1つの無垢材から形成されます。またヘッド部の曲線はAP-Stolenの時は削り出した部材を接合していましたが、現在では蒸気で曲げて形成していてより頑丈になっています。
このように現在の世の中の変化に適応し、最新の技術を駆使してより良く進化をしています。

デザイン
ベアチェアはウェグナーの最高傑作の一つと言われる作品です。1951年にウェグナーが38歳の時にAP-Stolen社のためにデザインをしました。「熊が手を広げている」ような愛らしいフォルムからベアチェアと名付けられています。非常に堅牢なつくりをしており、どんな座り方をしてもびくともしない安定感が魅力の一つです。

本物の証
ベアチェアにはAP-StolenやPP mobler以外で製造されたものがあります。それは本物とは言えません。

価格の推移
2025年現在PP moblerのベアチェアは
AP-Stolenのベアチェアは
2003年に発行された雑誌「北欧スタイル」ではベアチェアは74万4千円と紹介されています。20年間でおよそ230万円上昇しています。紺

個体差

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