About
Designer: Ib Kofod-Larsen(イブ・コフォード・ラーセン)
Manufacturer: Faarup Møbelfabrik(ファールップ・モブラーファブリック)
Year: 1960s
Material: Brazilian Rosewood, Teak, Oak
Size: W230 × D50 × H75 cm(バリエーションあり)
Story
FA-66サイドボードは、イブ・コフォード・ラーセンがファールップ・モブラーファブリック社のためにデザインした代表的な作品のひとつです。シンプルで洗練されたラインと素材の美しさが融合し、デンマーク・モダンデザインの黄金期を象徴する家具として知られています。
このサイドボードの最大の特徴は、細くテーパーした脚と箱型の本体が組み合わさることで生まれる軽やかなシルエットです。まるで浮遊するように見える構造は、視覚的な優雅さと安定感を同時に表現しています。
素材にはブラジリアンローズウッドやチークが用いられ、特にブックマッチの技法によって左右対称に広がる木目模様は、家具全体を芸術作品のように引き立てています。この繊細な木目の配置は、当時の職人が高度な指物技術を駆使して仕上げた証でもあります。
機能性においても優れており、隠しハンドルやスムーズな引き出しの開閉、可動式の棚板など、使用者の利便性を徹底的に考慮した設計がなされています。内部の仕切りやフェルト張りの小引き出しは、日常生活に即した収納性を提供すると同時に、高級家具としての品格を備えています。
イブ・コフォード・ラーセンの哲学である「プロポーション、素材、そして人間の快適さへの本能的な感覚」が、このサイドボード全体に反映されています。装飾的要素を排し、構造と素材そのものをデザインの主役としたこの作品は、時代を超えて人々を魅了し続ける存在です。