PK8 Chair | チェア


About

Designer: Poul Kjærholm(ポール・ケアホルム)
Manufacturer: Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)
Year: 1978
Material: Aluminium, ABS plastic, Leather
Size: W600 × D500 × H780mm, SH440mm


Story

PK8は、ポール・ケアホルムが1978年にデザインした三本脚のチェアです。彼の死後長らくプロトタイプとしてのみ存在していましたが、2007年にフリッツ・ハンセン社が正式に製品化しました。この背景は、PK8が単なる家具ではなく、デザイナーの思想と遺産を象徴する特別な作品であることを示しています。

特徴的なのは、通常の四本脚ではなく三本脚を採用した構造です。この挑戦的なデザインは、椅子全体を軽快に見せると同時に、どの角度から眺めても彫刻的な美しさを感じさせます。ケアホルムが「家具建築家」と称された理由が、この作品に凝縮されています。

また、PK8は素材の変遷も重要な要素です。プロトタイプではスチールとレザーが用いられていましたが、製品版ではアルミニウムとABSプラスチックが採用され、より軽量で日常使いに適した仕様となりました。これはケアホルムの素材探求の精神と、現代的な実用性の両立を体現しています。

PK8は、同時期に発表されたPK58テーブルと組み合わせることで、その造形的な美しさがさらに際立ちます。空間全体を一つの構造美として捉えたケアホルムの思想が、この組み合わせにより完成されます。

この椅子の物語は、デザインが必ずしも即時に理解されるものではなく、時を経て再評価されることを示しています。PK8は、家具史における「幻の傑作」として特別な位置を占め続けています。

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