About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: GETAMA(ゲタマ)
Year: 1954
Material: Oak or Teak, Wool upholstery, Steel fittings
Size: W 176 × D 77 × H 38 cm / SH 38 cm
Story
GE 1は、ハンス・J・ウェグナーがゲタマと築いた協働関係の初期を象徴するデイベッドです。木部の質実なフレームワークと、しっかりとしたクッションワークの融合によって、日常使いに耐える堅牢性と、長時間座っても疲れにくい快適性を両立しています。1954年の発表当初から、住宅だけでなくパブリックスペースでも受け入れられたのは、この実用性と耐久性が評価されたためです。
本作の最大の特徴は「2つのセクション」による構成です。ラウンジチェア本体に独立したオットマンを組み合わせることで、平坦なデイベッドとしても機能します。必要に応じて構成を変えられる柔軟性は、限られた居室面積を効率よく使う北欧の生活文化に適合し、ウェグナーが重視した機能主義の思想を端的に示しています。
背もたれは金属金具によって角度調整が可能で、体格や姿勢に合わせて最適な支持を得られます。機構部を隠さず、意匠として見せる設計は、構造美そのものを肯定するウェグナーの姿勢を表しています。木部と金属の対比は静かな緊張感を生み、ソファとしての存在感を引き締めています。
素材はオークまたはチークが中心で、木口や面取りの取り回し、脚部のプロポーション、フレームと座の取り合いなど、細部の作りこみによって軽快な印象と剛性を同時に確保しています。張りはウール系ファブリックが基本で、ゲタマの張り技術により、適度な反発感と包まれ感のバランスが取れています。
GE 1は、引き出し式でベッド化するGE 258やGE 259と異なり、分節と可変をテーマにした解です。ウェグナーが同一の課題に対して複数の構造的アプローチを提示した好例であり、シリーズ内での位置づけを理解すると、GE 1の独創性がいっそう明確になります。メーカー刻印は通常フレーム裏面などに焼印で施され、真贋判定や来歴検証において重要な手掛かりとなります。