PK1 Dining Chair | ダイニングチェア


About

Designer: Poul Kjærholm(ポール・ケアホルム)
Manufacturer: E. Kold Christensen(E. コールド・クリステンセン) / Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Year: 1955
Material: Steel, rattan, paper cord
Size: W47 × D51 × H77 cm


Story

PK1は、ポール・ケアホルムが1955年に発表した最初の椅子であり、彼のキャリアの出発点を示す重要な作品です。工業的なスチールフレームと自然素材である籐(ラタン)を組み合わせたこのデザインは、後に続く「PK」シリーズの基礎を築きました。軽やかでありながら堅牢な構造は、ケアホルムの「家具建築家」としての思想を体現しています。

彼はスチールを冷たい工業素材としてではなく、木材や革と同じく「自然素材」と捉え、その素材感を尊重しました。PK1においても、スチールの直線的な構造と有機的に編み込まれた籐の組み合わせが、機能性と美しさを両立させています。この対比は、モダンデザインの国際的潮流とデンマークの職人技を融合させるケアホルム独自の手法を象徴しています。

2017年にはカール・ハンセン&サンによって復刻が行われ、座面と背もたれにはFSC認証のペーパーコードが採用されました。これは持続可能性を重視する現代的な選択であり、ウェグナー作品で培われた編み込み技術を応用したものです。熟練職人が約15時間をかけ、180メートルのコードを手作業で編み込む工程は、伝統と革新の融合を物語っています。

また、現代の体格に合わせて寸法が約6%拡大され、デザインの純粋性を維持しながら快適性を向上させています。さらに、4脚から5脚までスタッキング可能な設計により、実用性と美しさの調和を実現しています。

PK1は時代を超えて受け継がれ、使用とともにペーパーコードが経年変化して味わいを深めます。その軽快で洗練された佇まいは、家庭から公共空間まで調和し、ケアホルムの思想を現代に伝える存在であり続けています。

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