PK12 Arm Chair | アームチェア


About

Designer: Poul Kjærholm(ポール・ケアホルム)
Manufacturer: E. Kold Christensen(E. コールド・クリステンセン)
Year: 1964
Material: Chromed steel, Leather
Size: W63 × D48 × H69 cm


Story

PK12 Arm Chairは、1964年にポール・ケアホルムによってデザインされた作品であり、彼の素材実験と哲学の象徴的な成果です。この椅子は、19世紀以来の曲木椅子の伝統に対するオマージュでありながら、クロムメッキスチールを採用することで、現代的で機能主義的な新たな表現を生み出しました。

フレームは2本の曲げられたスチールチューブから構成され、そこに座面が加わるだけの極めて簡潔な構造を持ちます。直線と曲線の調和が生み出す緊張感ある造形は、ケアホルムが目指した「余分な要素を排した純粋な家具」の理念を体現しています。

特に希少なのが、革を手編みで巻き付けたアームレスト仕様です。これは製作が非常に難しく、十数脚しか作られなかったとされる特別なバリエーションで、今日ではコレクターズアイテムとして語り継がれる存在です。

PK12 Arm Chairは、ケアホルムとE. コールド・クリステンセン社の緊密なパートナーシップから生まれました。この協働関係は、PK22やPK61など数々の名作を世に送り出し、スチールを単なる工業素材ではなく、芸術的価値を持つ素材として位置づける基盤を築きました。

さらにPK12は、後に発表されたPK15の原点とも言える存在です。PK15では、PK12でスチールによって表現された曲木のフォルムが、実際の曲木によって実現されました。この展開は、ケアホルムが一つのデザインテーマを長年追求し、進化させ続けた姿勢を示しています。

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