PK31 Lounge Chair | ラウンジチェア


About

Designer: Poul Kjærholm(ポール・ケアホルム)
Manufacturer: E. Kold Christensen(E. コールド・クリステンセン) / Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)
Year: 1958
Material: Steel, Leather, Foam
Size: W 76 × D 76 × H 76 cm / SH 38 cm


Story

ポール・ケアホルムが1958年に発表した「PK31 Lounge Chair」は、スチールを芸術的価値のある素材として捉えた彼の姿勢を純度高く示す作品です。冷たさではなく「光と緊張」を引き出す造形により、簡潔でありながら静謐な存在感を獲得しています。

最大の特徴は、W・D・Hすべてを76cmに揃えた立方体の比率に基づくモジュール性です。単体のラウンジチェアとして完結した美を持ちながら、2人掛け・3人掛けへと拡張し、空間のスケールに柔軟に適合します。家具を建築空間の一部として構想するケアホルムの視点が、明快に可視化されています。

内部構造にはスプリングを用い、羽毛とウレタンフォームの層構成により、外観のミニマリズムからは想像しづらい快適性を実現します。背クッションの空気抜きや端正な縫製など、見えない箇所まで一貫した精度と美意識が貫かれています。

張り地は多様なレザーから選択でき、使用とともに生まれる経年変化が素材の深みを育てます。これは単なる摩耗ではなく、時間を織り込むためのデザイン言語であり、普遍的な価値を支える要素です。

製造は当初E. コールド・クリステンセンが担い、その後フリッツ・ハンセンが継承しました。製造体制の変遷を経ても、PK31は構造・素材・比例の均衡によって、今日もデンマーク・モダンの代表作として評価され続けています。

PAGE TOP