PK54 Table | 円形テーブル


About

Designer: Poul Kjærholm(ポール・ケアホルム)
Manufacturer: E. Kold Christensen(E. コールド・クリステンセン) / Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)
Year: 1963
Material: Marble, Granite, Stainless steel, Maple
Size: W140 × D140 × H69–72.5cm


Story

ポール・ケアホルムが1963年にデザインしたPK54は、デンマークモダニズムの中でも特異な存在として評価されている円形ダイニングテーブルです。天板に天然石を用い、ベースにはステンレススチールを採用することで、硬質な素材同士の対比を表現しながらも、建築的な秩序と彫刻的な美しさを融合させています。

このテーブルは、ケアホルムの自邸ダイニングルームのために設計され、妻ハンナに捧げられたPK9チェアと組み合わせることを前提として構想されました。そのため、単なる商業的なプロダクトにとどまらず、個人的な美学の宣言とも言える作品です。

天板にはカッラーラ大理石や御影石のほか、初期にはチポリーニ大理石やフォースケ大理石など希少な石材も用いられました。これらの素材はそれぞれ異なる表情を見せ、装飾を排したケアホルムの哲学を体現しています。また、天板とスチールベースをつなぐ構造は最小限でありながら、重厚な石材が空中に浮遊しているような軽やかな印象を生み出しています。

さらに特徴的なのが、拡張リング「PK54A」の存在です。6枚のメープル無垢材で構成され、工具を使わずに着脱できるこのリングは、直径を140cmから210cmへと拡張し、着席人数を倍増させます。硬質な石と有機的な木材を組み合わせることで、ケアホルムは素材の対話を一層明確にし、家具が空間に適応する柔軟性を示しました。

製造は当初、ケアホルムと密接に協業していたE. コールド・クリステンセンが担いました。彼の没後は1982年よりフリッツ・ハンセンが製造を継承し、今日まで生産を続けています。初期の高さ69cmに対し、現行モデルでは72.5cmの仕様も用意されており、現代のライフスタイルに合わせた調整が施されています。PK54は、建築的厳格さと人間的温かみを併せ持つ、時代を超えた普遍的な傑作として今なお多くの人を魅了しています。

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