Story
アルネ・ホフマン・オルセン(1919-1989)は、デンマーク・モダニズムの黄金時代を象徴するデザイナーのひとりです。農家に生まれ育ちながらも、幼少期から芸術や創作活動に強い関心を示し、その感性はやがて家具デザインの世界へと結実しました。
彼はまず家具職人として修行を積み、木材という素材の特性を深く理解しました。その後、デザイン教育を受け、実践的な職人技と理論的なデザインの両立を図ることで、独自のスタイルを確立していきました。この二重の専門性は、ハンス・J・ウェグナーをはじめとする同時代の巨匠たちと共通する成功の要因でした。
オルセンの家具は、スカンジナビアン・モダンの原則であるシンプルさと機能性に根ざしながらも、彫刻的で有機的なフォルムを特徴としています。特に、モーエンス・コールド社との協働によって生まれた数多くの作品は、軽やかでありながら構造的に堅牢で、世界中で高い評価を受けました。
彼のデザイン哲学は、素材への誠実さとフォルムの美しさを重視するものでした。チークやローズウッドといった高品質な木材を主役に据え、ペーパーコードやレザーなどを組み合わせることで、独自の調和を生み出しました。彫刻的な造形は、職人としての深い経験に裏打ちされており、時代を超えて魅力を放ち続けています。
今日では、ウォーム・ノルディック社によっていくつかの代表作が復刻されており、彼の作品は歴史的価値にとどまらず、現代のインテリアにも自然に溶け込むクラシックとして評価されています。アルネ・ホフマン・オルセンは、まさに「玄人が選ぶデンマークデザインの深淵」を体現する存在なのです。
About
Year: 1919-1989
Place: Kirkeby Sogn(キルケビー・ソグン)
Manufacturer: Mogens Kold(モーエンス・コールド)、Warm Nordic(ウォーム・ノルディック)
History
1919: デンマーク・キルケビー・ソグンに生まれる
1938: シバスト社にて家具職人の徒弟修行を開始
1941: 徒弟期間を修了し、オーフスの家具デザイン学校に進学
1944: 自身のデザインスタジオを設立し独立
1945: 初期のデザイン活動を開始し、デンマーク国内で評価を得る
1950: モーエンス・コールド社との協業を開始
1951: ダイニングチェア MK310をデザイン、革新的な合板技術を導入
1953: モデル71 ダイニングチェアを発表、彫刻的なフォルムで注目を集める
1955: モデル175 ダイニングチェアを発表、ニールス・O・モラーのモデル77と比較される作品となる
1958: モデル240 ラウンジチェアを発表、代表的なラウンジシーティングとなる
1959: Danish Furnituremakers Control マークを使用開始
1960: サーフボード コーヒーテーブルを発表
1960: エバーモア ダイニングテーブルを発表
1960: モーエンス・コールド社から多数のサイドボードを発表
1962: ローズウッド材を用いたパリサンダー サイドボードを製作
1965: グランドファーザークロックをデザイン
1968: コレクターズマーケットで作品が高く評価され始める
1970: 病により活動が制限され、スタジオを閉鎖
1975: 国際的評価が確立され、アメリカ市場でも再注目される
1980: デンマーク国内の展示会にて回顧的評価を受ける
1985: 代表作が再びオークションに登場し、収集価値が高まる
1989: 逝去
1990: 作品が国際的に再評価され、ヴィンテージ市場で人気を博す
2000: デンマーク家具史の文脈で再び取り上げられる
2010: 研究者やコレクターによる資料公開が進む
2015: ウォーム・ノルディック社が代表作の復刻を開始
2020: サーフボード コーヒーテーブルやリーンバックチェアが復刻生産され、現代市場に浸透
2023: 世界各地の展覧会で再評価が進む
Furniture
・Model 71 | ダイニングチェア
・Model 175 | ダイニングチェア
・MK310 | ダイニングチェア
・Model 240 | ラウンジチェア
・Lean Back Armchair | アームチェア
・Cocktail Lounge Chair | ラウンジチェア
・Wingman Lounge Chair | ラウンジチェア
・Noble Dining Chair | ダイニングチェア
・Surfboard Coffee Table | コーヒーテーブル
・Evermore Dining Table | ダイニングテーブル
・Palisander Sideboard | サイドボード
・Grandfather Clock | 置時計