Story
カイ・ヴィンディング(Kaj Winding, 1904-1965)は、デンマーク・モダニズムの黄金期に活動した家具デザイナーでありキャビネットメーカーです。彼の作品は、素材の美しさを最大限に引き出す誠実な職人技と、シンプルで洗練されたフォルムを特徴としています。
同名のジャズ・トロンボーン奏者との混同により、彼の業績は長らく曖昧に扱われてきました。しかし実際のカイ・ヴィンディングは、コペンハーゲンを拠点に活動し、数多くの著名工房と協働することでデンマーク・モダンを支えた重要な存在でした。
ヴィンディングは、チークやローズウッド、オークといった銘木に加え、籐(ラタン)、真鍮、フォーマイカなどを組み合わせることで、軽やかさや現代性を作品に与えました。そのデザインは機能性と美しさを両立させ、時代を超えて評価されています。
彼が協業した工房やメーカーには、P. イェッペセン、ポール・フンデヴァッド、スラゲーセ・ムーベルヴァーク、ルッド・ラスムッセン、ルイス・ポールセン、ビング・オー・グレンダールなどがあります。これにより、箱物家具から椅子、テーブル、照明に至るまで幅広い作品群が生まれました。
代表作には、1958年ブリュッセル万博で発表された「トリエンナ・チェア」や、1962年フレデリシア・フェアで公開された彫刻的なスツールがあり、『Mobilia』誌にも掲載されました。彼の早すぎる死は惜しまれますが、その純度の高い作品群は今日も再評価され続けています。
About
Year:1904-1965
Place:Copenhagen(コペンハーゲン)
Manufacturer:P. Jeppesens Møbelfabrik(P. イェッペセン)、Poul Hundevad(ポール・フンデヴァッド)、Slagelse Møbelværk(スラゲーセ・ムーベルヴァーク)、Rud. Rasmussen(ルッド・ラスムッセン)、Willy Beck(ヴィリー・ベック)、Louis Poulsen(ルイス・ポールセン)、Bing & Grøndahl(ビング・オー・グレンダール)、Design-Craftsmen(デザイン・クラフツメン)
History
1904:デンマークに生まれる
1938:コペンハーゲンで家具職人・デザイナー・ディーラーとして活動を開始
1950年代初頭:ポール・フンデヴァッドと協業し、チェストやベンチを制作
1950年代中期:P. イェッペセンでローズウッド材を用いた箱物家具をデザイン
1950年代後期:スラゲーセ・ムーベルヴァークでダイニングテーブルやチェアを発表
1958:ブリュッセル万国博覧会にて「トリエンナ・チェア」を発表(Design-Craftsmen製作)
1960頃:P. イェッペセンでフォーマイカを象嵌したネストテーブルを制作
1960年代初頭:ルッド・ラスムッセンでローズウッド製ヴィトリンを制作
1960年代初頭:ヴィリー・ベックでクレデンツァを製作
1960年代初頭:ルイス・ポールセンのため照明器具をデザイン
1960年代初頭:ビング・オー・グレンダールでグラフィックデザインを担当
1962:フレデリシア・フェアにてオレゴンパインのスツールを発表(Hundevad & Co. 製作)
1962:『Mobilia』No.82-83 にスツールが掲載
1962:『Mobilia』No.85 にネストテーブルが掲載される(誤ってグレーテ・ヤルク作とされた事例)
1965:コペンハーゲンにて逝去
Furniture
・Trienna Chair | トリエンナ・チェア
・Dining Table Extending
・Dining Chair Box Form
・Bench Chest Model 52
・Sideboard Lowboard Rosewood
・Bureau Secretary Rosewood
・Vitrine Cabinet Glass Doors
・Nest of Tables Formica Inlaid
・Stool Oregon Pine Sculptural
・Daybed Rosewood Frame
・Coffee Table Rosewood
・Side Table Oak
・Writing Desk Bureau Type
・Highboard Sliding Doors
・Credenza Small Rosewood
・Bookcase Modular
・Wall Unit Cabinet System
・Dining Table Round Oak
・Dining Chair Upholstered Seat
・Bedside Table Nightstand