Story
Langkilde Møbler(ラングキルデ・モブラー)は、1950年代のデンマーク・モダンにおいて、高級木材と卓越した職人技術を組み合わせた作品を生み出した工房です。その中心にいたのは建築家スヴェン・ラングキルデであり、彼の独自のビジョンによって工房は「控えめなラグジュアリー」を体現する家具を世に送り出しました。
創業当初から、ラングキルデはローズウッドやマホガニーといった希少木材にこだわり、素材の本質的な美しさを最大限に引き出す「素材主導のミニマリズム」を展開しました。特にローズウッドのブックマッチ仕上げは、劇的で左右対称の木目を生み出し、工房のシグネチャーともいえる特徴となりました。
また、Illums Bolighus(イルムス・ボリフス)との協力関係は、工房の評価を決定づけました。コペンハーゲンを代表するデザイン百貨店のために製作された家具は、最高峰の審美基準を満たしていたことを証明しており、今日でも「Langkilde Møbler for Illums Bolighus」という来歴は大きな価値を持っています。
スヴェン・ラングキルデ自身は、家具だけでなくジュエリーやカトラリー、照明までを手掛け、1957年のミラノ・トリエンナーレで金賞を受賞するなど国際的な評価を獲得しました。その作品はMoMA(ニューヨーク近代美術館)にも収蔵され、デンマーク・デザインの国際的地位向上に貢献しました。
Langkilde Møblerの家具は、華美な装飾を排しながらも、ローズウッドや真鍮などの素材の質感を際立たせることで、静かで洗練された存在感を放ちます。その「控えめな表現の芸術」は、今日のヴィンテージ市場においても高く評価され、世界中のコレクターに求められ続けています。
About
Year:1953–
President:Svend Langkilde
Designer:Svend Langkilde(スヴェン・ラングキルデ)
Place:コペンハーゲン
History
1953:スヴェン・ラングキルデが自身のデザイン会社を設立
1957:ミラノ・トリエンナーレにて金賞を受賞
1960:Illums Bolighusとの協力関係を拡大し、高級家具の製造を展開
1962:デンマーク工業デザイン賞を受賞
1965:ローズウッドのブックマッチ仕上げを用いたキャビネットが代表作として定着
1970:MoMA(ニューヨーク近代美術館)に作品が収蔵
1972:バトラーズトレイテーブルやコーヒーテーブルの新作を発表
1975:壁掛けキャビネットやブックケースを展開し、製品ラインを拡張
1980:国際市場での評価が高まり、ロンドン・パリ・ニューヨークなどで取引される
1990:ヴィンテージ市場で高級家具としての地位を確立
2000:CITES規制によりローズウッド作品が希少性を増し、コレクターズアイテム化
2010:オークション市場において過去最高額での落札記録を更新
2020:Illums Bolighusとの来歴を持つ作品が国際市場で高値取引される
Furniture
・Cabinet / Sideboard
・Chest of Drawers
・Butler’s Tray Table
・Writing Desk
・Bookcase
・Coffee Table
・Wall-mounted Bar Cabinet
・High-back Lounge Chair with Ottoman
・Children’s Chair Set