Svend Aage Holm-Sørensen | スヴェン・オーゲ・ホルム-ソーレンセン


Story

スヴェン・オーゲ・ホルム-ソーレンセン(Svend Aage Holm-Sørensen, 1913-2004)は、デンマーク・モダニズムの照明デザイン史における特異な存在です。彼の作品は、今日のヴィンテージ市場で世界中のコレクターから高く評価されている一方で、その経歴や工房に関する記録は驚くほど少なく、ミステリアスな魅力をまとっています。

 

彼は「装飾金属加工職人」としての資格を持ち、家具デザイナーとしての訓練も受けた稀有な存在でした。建築的アプローチを基盤とした同時代のデザイナーと異なり、素材そのものから発想する「マテリアル・アップ」の哲学を持ち、金属を熱し、切り、叩き、成形する工房での実践を通じてデザインを生み出しました。

 

彼の作品は大きく二つの時代に分けられます。1950年代には、細身のフォルムや真鍮・チーク・ガラスを組み合わせた洗練されたモダニズム作品を生み出し、代表作「フィッシングポール・フロアランプ」に結実しました。1960年代以降はブルータリズムに傾倒し、真鍮や銅を大胆に切断・焼成する技法を駆使して、「オニオン」や「ヴィクトリア」など、彫刻的かつ表現力豊かな照明を手掛けました。

 

彼が率いた「Holm Sørensen & Co.」は、単なる下請け工房ではなく、自身のデザインを製造するための自社生産体制を持ち、デザインから製造までを一貫して行った点に大きな特徴があります。そのため、作品は妥協なく彼のビジョンを体現し、強烈な個性を放っています。

 

近年ではWarm Nordicが彼の作品を復刻し、公式コレクションとして再評価が進んでいます。光と素材を自在に操った彼の作品は、今なお時代を超えた魅力を放ち、デンマークデザインの歴史における「光と金属の巨匠」として位置づけられるべき存在です。


About

Year:1950年代 – 1970年代
President:Svend Aage Holm-Sørensen
Designer:Svend Aage Holm-Sørensen(スヴェン・オーゲ・ホルム-ソーレンセン)
Place:コペンハーゲン


History

1913:スヴェン・オーゲ・ホルム-ソーレンセン生まれる
1940年代:装飾金属加工職人として活動を開始、家具デザインも学ぶ
1950:Fog & MørupやLyfaのために照明デザインを提供
1954:三脚型フロアランプなど、国際的モダニズムの影響を受けた作品を発表
1955:自身の工房「Holm Sørensen & Co.」を設立
1959:フィッシングポール・フロアランプを製作、代表作として高く評価される
1960:オニオン・ペンダント(モデル6395)を発表、彫刻的なブルータリズム様式へ移行
1965:ヴィクトリア・ペンダントなど、フレームカット技法を用いた真鍮照明を展開
1970:Holm-Sørensen & Pedersen Belysning ApSとして法人形態を変更
1970年代:銅を用いたフランベ加工や酸処理による新技法を開発
1980年代:活動を縮小、主に限定的な製造と受注生産に移行
1990年代:作品がコレクターズアイテムとして国際的に再評価され始める
2004:死去、Warm Nordicなどによる復刻活動の契機となる
2018:Warm Nordicが遺族と協力し「House of Svend Aage Holm-Sørensen」コレクションを立ち上げる
2020年代:ヴィンテージ市場で彼の作品が高額取引され、再び注目を集める


Furniture

・Fishing Pole Floor Lamp
・Onion Pendant Model 6395
・Victoria Pendant
・Tripod Floor Lamp
・Wall Sconces(Brass, Copper)
・Acid-Cut Brass Pendant
・Flambé Copper Ceiling Light
・Table Lamps(Brass, Teak, Glass)

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