About
Designer: Hans J. Wegner
Manufacturer: RY Møbler
Year: 1960
Material: Teak or Oak
Size: W1000 × D335 × H1090 mm
Story
RY14は、ハンス・J・ウェグナーがRY Møblerとの協働により設計したモジュール式収納シリーズの上部ユニットです。本作は単体で成立する端正な造形を持ちながら、同シリーズの下部ユニットと組み合わせることで、建築的な収納構成を形成するよう設計されています。収納家具を単体の箱としてではなく、空間を構成する要素として捉えるウェグナーの思想が明確に表れています。
ウェグナーの箱物家具に共通するのは、構造の誠実さと面構成の秩序です。RY14では、前面の木目が垂直方向を強調し、全体に静かな緊張感を与えています。装飾的要素を排しながらも、扉面と側板の関係、天板の厚み、脚部との接続に至るまで、視覚的なバランスが緻密に計算されています。
内部には可動棚が設けられ、収納物に応じた調整が可能です。外観は極めて簡潔でありながら、内部構造には合理性が徹底されています。この「見えない部分への配慮」こそが、ウェグナーが一貫して追求した設計態度です。構造そのものが造形となり、機能がそのまま美しさへと転化しています。
RY14は、同シリーズのベースキャビネットと組み合わせることで、壁面収納としての完成度を高めます。モジュールを積層することで空間に秩序を与える設計思想は、ウェグナーの建築的視座を象徴しています。家具を単なる道具ではなく、住空間の構造体として捉える姿勢が、本作には凝縮されています。
本作は、静かで端正な佇まいの中に、合理性とクラフトマンシップが統合された作品です。RY14はウェグナーの収納哲学を体現する代表的なモデルであり、彼の設計思想が椅子以外の分野にも一貫して貫かれていたことを示しています。

