About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: RY Møbler(ロユ・モブラー)
Year: 1960
Material: Teak / Oak
Size: W1000 × D360/490 × H2070 mm
Story
RY100 シェルフシステムは、ハンス・J・ウェグナーが収納家具を「建築的構造体」として再定義した代表的な壁面システムです。1960年前後にRY Møblerとの協働により発表され、モジュール構造を徹底的に合理化した設計思想が結実しています。
本作の最大の特徴は、垂直ラダー構造による明快なモジュール性にあります。支柱には一定間隔で棚受け孔が設けられ、収納ユニットや棚板を用途に応じて調整することが可能です。壁面固定を前提としない自立構造を採用しているため、壁面収納としてだけでなく、空間の中央に設置し間仕切りとして機能させる構成も想定されています。
奥行は約360mmの浅型と約490mmの深型が存在し、用途に応じた組み合わせが可能です。浅型は書籍やディスプレイ用途に適し、深型はチェストやキャビネットユニットを組み込むことで多様な収納に対応します。モジュール幅は1000mm単位で設計され、横方向への拡張が可能な構造となっています。
構造体は直線的なフレームと水平棚板によって構成され、全体は極めて抑制された造形でまとめられています。ハンドルは削り出しによる一体型形状が採用され、視覚的ノイズを排したデザインが貫かれています。金属パーツは最小限に留められ、構造を補強する要素として機能しています。
RY100は単なる収納家具ではなく、生活の秩序を構築するための可変的システムです。用途や空間構成の変化に応じて再配置・再構成が可能であり、住環境の長期的変化にも柔軟に対応します。
ウェグナーが追求した有機的機能主義は、この壁面システムにおいて明確な形を得ています。装飾を排し、構造そのものの合理性によって成立する設計は、現在の空間においても静かな存在感を保ち続けています。










