About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: GETAMA
Year: 1950
Material: Oak, Upholstered
Size: W 660 × D 800 × H 1020 × SH 380 mm
Story
GE260Aは、1950年にハンス・J・ウェグナーによってデザインされたハイバック仕様のイージーチェアです。GETAMAとの協働初期を象徴するモデルの一つであり、戦後デンマークにおける量産体制と工芸的精度の両立を体現しています。前年に発表されたRound Chairの成功を経て、より生活空間に根差したラウンジチェアとして構想されました。
本作の特徴は、細身で直線的なフレーム構成にあります。前脚から背柱へと連続するオーク無垢材の骨格は、構造を隠すことなく視覚化するウェグナーの思想を明確に示しています。テーパードした脚部と水平に伸びるアームは軽快な印象を与えつつ、接合部には真鍮金具が用いられ、強度と意匠の両面を支えています。装飾を排しながらも、細部には緊張感が宿ります。
座面と背もたれは張り込み構造で、内部にはスプリングを備えたクッションが組み込まれています。これはマットレス製造を起源とするGETAMAの技術的背景を反映した仕様であり、適度な反発力と耐久性を両立しています。座面高は約380mmと低めに設定され、身体を深く預ける姿勢を自然に導きます。ハイバック形状は頭部までを支え、読書や静かな時間に適した安定感をもたらします。
同社のGE290と比較すると、GE260Aはアームがより細く、全体のプロポーションも軽やかです。厚みを強調する構成ではなく、線的な骨格を際立たせることで、空間に圧迫感を与えません。小ぶりな住宅事情を背景としたスケール感は、現代の住環境にも高い親和性を持ちます。
GE260Aは、素材、構造、機能の三要素を過不足なく統合したモデルです。構造への誠実さを前提に、美しさを導き出すというウェグナーの姿勢が、この一脚には明確に表れています。静かな佇まいの中に、確かな設計思想ならぬ、確かなデザイン思想が貫かれた作品です。
