CH30 Chair | チェア


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Year: 1954
Material: Oak, Walnut, Teak, Beech
Size: 幅52 × 奥行き47 × 高さ78 cm / 座面高46 cm


Story

CH30チェアは、ハンス・J・ウェグナーが1954年に発表したダイニングチェアであり、デンマーク・モダニズムの本質を体現する傑作です。ウェグナーは生涯を通じて「完璧な椅子」を追い求め、500脚以上の椅子をデザインしましたが、CH30はその探求の中でも特に実用性と美しさを兼ね備えた作品です。

背もたれは緩やかに湾曲した楕円形で、視覚的な優美さと快適な座り心地を同時に提供します。さらに、背板の十字形のカバーキャップは、構造上の合理性と装飾性を兼ね備えたディテールであり、ウェグナーの職人技を象徴しています。

素材にはオークやウォールナットが多く用いられ、チークやブナ材によるバリエーションも存在します。座面は当初、無垢材や合板製でしたが、後に革や布を用いたパッド入り仕様が追加され、使う人の快適性を高めています。

CH30は一時期製造が中止されましたが、近年再評価され、カール・ハンセン&サンにより復刻されました。現行モデルでは現代の生活に合わせて座面高が約2cm高く改良されており、過去の名作が現代の基準に適応する好例となっています。

ウィッシュボーンチェア(CH24)と比較すると、CH30はより控えめで機能主義的な椅子ですが、その有機的フォルムと精巧な職人技は、ウェグナーの哲学を凝縮した不朽のアーキタイプといえます。

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