About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Year: 1954
Material: Oak, Walnut, Teak
Size: W78/88/100 × D78/88/100 × H44 cm
Story
CH008コーヒーテーブルは、1954年にハンス・J・ウェグナーがデザインした円形テーブルであり、デンマークモダンの精神を象徴する傑作のひとつです。シンプルでありながら構造的に極めて洗練されており、ウェグナーの核心的なデザイン哲学が集約されています。
特徴的なのは、三本脚とその裏側に配された三角形の支持フレームです。このフレームは、通常は目に見えない部分にまで徹底した仕上げが施されており、ウェグナーが掲げた「裏側のない家具」の理念を体現しています。構造そのものが意匠であり、誠実さを美として表現する姿勢が如実に現れています。
また、三本脚の設計は機能的にも優れており、凹凸のある床面でも安定性を保ちながら、先端に向かって細くなるテーパー加工により視覚的な軽やかさを実現しています。輸送や組み立ての利便性を考慮し、脚は取り外し可能な構造になっている点も見逃せません。
天板は突き板ではなく無垢材が用いられ、素材の真正性と耐久性が確保されています。円形の形状は人と人を平等に向き合わせ、交流を促す象徴的なデザインとなっています。オーク、ウォルナット、チークといった素材の選択肢があり、それぞれが異なる風合いや経年変化を見せ、所有者との関係を深めていきます。
CH008は単なるコーヒーテーブルにとどまらず、空間に静かな調和をもたらし、誠実さと機能美の結晶として日常に寄り添う存在です。その静謐な美は声高に主張することなく、世代を超えて受け継がれる価値を秘めています。