Coffee Table | コーヒーテーブル


About

Designer: Finn Juhl(フィン・ユール)
Manufacturer: Niels Vodder(ニールス・ヴォッダー)
Year: 1946
Material: Teak, Oregon Pine
Size: W120 × D58 × H61


Story

1946年、フィン・ユールと家具職人ニールス・ヴォッダーは、コペンハーゲンのアマー広場に位置するビング&グロンダール旗艦店のために特別注文のコーヒーテーブルを制作しました。この作品は、量産を前提としない一点物であり、真贋を示すスタンプすら存在しない「特注品」として極めて稀少な存在です。

天板にはチーク無垢材を用い、縁をわずかに隆起させた造形が施され、フレームにはオレゴンパインが選ばれました。直線的ではなく緩やかな曲線を描くストレッチャー、脚先に取り付けられたチークの「靴」、そして繊細に先細りする脚部が、このテーブルに軽やかで有機的な印象を与えています。

フィン・ユールが追求した「運ぶものと運ばれるもの」というデザイン哲学は、このテーブルにおいても明確に表現されています。重厚な天板を軽快なフレームが支える構造は、視覚的な浮遊感を演出し、家具に「生命を宿す」というユールの理念を具体化しています。

また、この作品はユールが翌年に権威あるエケルスベア・メダルを受賞する契機となった、ビング&グロンダールの店舗内装と密接に結びついています。商業空間に芸術性を持ち込むユールの姿勢を象徴し、彼のキャリアにおける重要な転換点を物語るものでもあります。

ニールス・ヴォッダーの卓越した木工技術なくして、このような複雑な構造と異素材の調和は実現しませんでした。デザイナーと職人の緊密な協業の成果として生み出されたこのテーブルは、デンマーク・モダニズムの歴史における、特異で忘れがたい証人といえるでしょう。

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