About
Designer: Jacob Kjær(ヤコブ・ケア)
Manufacturer: Jacob Kjær(ヤコブ・ケア)
Year: 1939
Material: Oak, Mahogany, Teak, Brass
Size: W74 × D74 × H51.5
Story
「Fionia」コーヒーテーブルは、デンマークを代表する家具デザイナーであり指物師のヤコブ・ケアによって1939年にデザインされた作品です。円形の天板に施された真鍮の象嵌、立ち上がった縁、そして先細りの丸脚という特徴的な意匠は、ケアの建築的な感覚と英国クラシックへの敬意を背景にしながらも、モダニズムの洗練を取り入れたものです。
素材にはチークやマホガニー、オークなどの銘木が用いられ、真鍮パーツとの組み合わせによって堅牢性と装飾性を兼ね備えています。特に天板の真鍮象嵌は美観と補強の両面で機能しており、ケアの徹底した職人技へのこだわりを示しています。
オリジナルはケア自身の工房で製作されましたが、彼の没後には他の職人によってオーク材を中心に製造が続けられました。オリジナルと後期作品の大きな違いは、脚上部の真鍮スリーブの有無にあります。これは真贋を見極める上で重要な要素とされ、オリジナルの希少性と価値を高めるものとなっています。
「Fionia」という名称は、デンマークのフューン島(Fyn)に由来しています。自然と文化が融合するその風景を象徴するかのように、このテーブルもまた、シンプルな美と機能の調和を体現しています。ケアが築いた伝統と革新の結晶として、今なお国際的な評価を受け続ける傑作です。