JH567 Oval Dining Table | オーバルダイニングテーブル


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: Johannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)
Year: 1952
Material: Teak, Oak
Size: W130 × D180–370 × H72 cm


Story

1952年に発表された「JH 567」オーバルダイニングテーブルは、ハンス・J・ウェグナーとマイスターキャビネットメーカーであるヨハネス・ハンセンの協働によって生み出された代表作です。コペンハーゲン家具職人組合展に出品された本作は、当時のデンマーク家具デザイン界において革新的な存在として注目を集めました。

このテーブルの最大の特徴は、引き出し式の伸長機構にあります。3枚のリーフを収納しながらシームレスに拡張できる仕組みは、日常の食卓から大人数の集まりまで柔軟に対応可能で、最長370cmまで伸長することで12〜14人が着席できる機能性を備えています。実用性と美しさを兼ね備えた構造は、ウェグナーの「平凡なものを並外れた品質にする」という哲学を体現しています。

天板にはチーク材、脚部やフレームにはオーク材が用いられ、異素材を組み合わせることで強度と視覚的な調和を両立しました。チークは経年変化によって深みを増し、オークは堅牢さと繊細な木目を強調します。この素材選びは、日常使用に耐えうる耐久性と、使い込むことで魅力を増す美観を両立させています。

丸みを帯びたオーバルの天板と、先細りの円筒脚のバランスは、彫刻的で有機的なラインを描きつつ、建築的な明快さを備えています。余計な装飾を削ぎ落とした洗練された造形は、ウェグナーが追求した「オーガニック・ファンクショナリズム」を如実に示しています。

また、裏面に押されたヨハネス・ハンセン工房の刻印は、このテーブルの真正性と品質を保証する証です。工房の徹底した手仕事は、量産では到達し得ない精度と美を生み出し、デンマークモダンを象徴する家具としての地位を確立しました。「JH 567」は、単なる食卓ではなく、デザインと職人技が結晶した芸術的遺産といえます。

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