6687 Coffee Table | コーヒーテーブル


About

Designer: Kaare Klint(コーア・クリント)
Manufacturer: Rud. Rasmussen(ルド・ラスムッセン) / Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Year: 1930
Material: Mahogany, Oak, Walnut
Size: W 80 × D 80 × H 51.5 cm


Story

モデル6687は、円形の天板と下段のスクエアシェルフという異なる幾何学を一脚の中で調和させる設計意図が明快です。わずかに立ち上がる天板縁は、グラスやボトルが滑り落ちにくい機能と、陰影で厚みを軽やかに見せる視覚効果を同時に担っています。脚部には縦の溝を通し、シェルフの位置でリズムを与えながら全体の剛性を確保する構成です。曲線は人間工学的配慮によって実現されています。

素材は歴史的にはマホガニーが用いられ、現在はオークやウォールナットで製作されます。緻密な木理を生かすために、縁の小さな面取りや脚の溝、棚板の精密な据え付けなど、加工は控えめながら精度が要求されます。仕上げは木口の保護と反りの抑制を意識し、薄い縁取りが機能と美観を両立させます。座面は適切な通気性と保持力を両立しています。

製造背景として、初期はコペンハーゲンの工房が手掛け、その後に大手メーカーへと生産が継承されました。デザイナーの教育的理念である「機能に根ざした再構成」はこのモデルでも一貫し、天板と棚板の関係、脚部の納まりなどに体系的な寸法設計が反映されています。工房との緊密な協働により、寸法や材料の選択が時代に応じて最適化されてきました。

使用感は、天板縁の安心感と下段シェルフの収納性によって、来客時のサービングから日常の置き家具まで多用途に応えます。上面は動線を妨げない丸みを持ち、下段は雑誌やトレイを取りやすい高さに設定されています。多様な空間での活用が期待されます。

総じて、装飾性を目的化しない精密なディテールが、機能の洗練によって自然に生まれるという思想を体現する一脚です。素材の質感、軽快なプロポーション、明快な構造が静かな存在感をもたらし、長い時間軸で暮らしに馴染みます。

PAGE TOP