GE673 Rocking Chair | ロッキングチェア(キーホールチェア)


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: GETAMA(ゲタマ)
Year: 1967
Material: Oak or Beech, Upholstered
Size: W750 × D840 × H1020 × SH380 mm


Story

GE673は、1967年にハンス・J・ウェグナーがGETAMAのためにデザインしたロッキングチェアです。通称キーホールチェアと呼ばれ、その名称はアーム下部に設けられた鍵穴状の接合部に由来します。ロッキングチェアという動的な形式に対し、構造を可視化することで意匠へと昇華させた点に本作の特徴があります。

本作のデザインは、金物に頼らず木部の嵌合によって全体を成立させるノックダウン構造にあります。アームの開口部に楔状のパーツを差し込み、背と座のフレームを緊結する仕組みです。この構造は分解と再組立を可能にし、輸送性と保守性を高める合理的な設計でもあります。構造そのものが視覚的な個性となっている点に、ウェグナーのデザイン思想が明確に表れています。

ロッカーの曲率は重心移動に対して穏やかに反応するよう設計されています。過度な揺れを生じさせず、深く腰掛けた際に安定するバランスが追求されています。背は高く設定され、張地によって身体を張力で受け止める構造です。面で支えるのではなく、素材のしなりを活かして支持するため、自然な包容感が生まれます。

フレームには無垢材が用いられ、部材断面は強度と軽快さの両立を意図して整理されています。量産体制の中でも構造精度を保つための加工が施され、GETAMAの製造背景とウェグナーの設計思想が高い水準で統合されています。GE673は、揺れという機能を通して静的な美しさを成立させたロッキングチェアです。

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