GE674 Rocking Chair | ロッキングチェア


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: GETAMA(ゲタマ)
Year: 1967
Material: Oak or Beech, Canvas or Webbing
Size: W555 × D860 × H730 × SH440 mm


Story

GE674は、1967年にGETAMAより発表されたロッキングチェアです。ハンス・J・ウェグナーの作品群の中でも、特に建築的な思考が明確に表れたモデルとして位置づけられます。1940年代の有機的な曲線を強調した椅子とは異なり、本作では直線的で整理された骨格が前面に押し出されています。ロッキングチェアでありながら、装飾的な要素を徹底的に排し、構造そのものを意匠として成立させている点が特徴です。

フレームはオークまたはビーチによって構成され、脚から背へと続くラインは極めて明快です。ロッキングレールのカーブは控えめで、全体は低重心に設計されています。揺れは滑らかで安定しており、動きの中に過度な誇張はありません。構造の透明性が保たれているため、椅子の力の流れを視覚的に読み取ることができます。これはウェグナーが一貫して追求した「構造の誠実さ」を体現しています。

座面にはキャンバスまたはウェビングが用いられ、厚いクッションを持つラウンジタイプとは異なる軽快な印象を与えます。張り構造は適度なしなりを生み、身体を自然に受け止めます。過度に沈み込まず、読書や静かな休息に適した安定感を備えています。座面は適切な通気性と保持力を両立しています。

同じロッキングチェアでも、FDBのJ16が伝統的なスピンドル構成を基盤とするのに対し、GE674はより抽象度の高い表現を選択しています。また、GETAMAのGE273のようなクッション主体のモデルとも方向性を異にし、本作はあくまでフレームの構造美を中心に据えています。伝統と快適性の両極から距離を取り、幾何学的な純粋さを追求した点にこの椅子の独自性があります。

GE674は生産期間が比較的短く、ウェグナー作品の中ではやや特異な存在です。しかし、その価値は希少性ではなく、設計思想の明確さにあります。装飾を削ぎ落とし、骨格だけで成立するロッキングチェア。その静かな存在感は、現代の住空間においても高い親和性を持ちます。構造と機能を純化した一脚として、ウェグナーの思想を端的に示すモデルといえます。

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