AP30 Piano Stool | ピアノスツール


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: AP-Stolen(APストーレン)
Year: 1957
Material: Teak or Oak, Upholstery
Size: W700 × D420 × H520 × SH480 mm


Story

AP30 Piano Stool は、ハンス・J・ウェグナーが AP-Stolen のために設計したピアノ用スツールです。パパベアチェアと同時代に生まれた本作は、同シリーズのオットマン AP29 を基礎としながら、用途に合わせて構造が再設計されています。

最大の特徴は、脚部中段に設けられた H 型の貫です。座面高を高く設定することで生じる横揺れや捻れを抑え、演奏時の安定性を確保するための構造的補強です。高さを単純に変えるのではなく、力のかかり方を前提に骨格を組み直す姿勢に、ウェグナーの設計思想が表れています。

座面両端の木製ハンドルも重要な要素です。無垢材から削り出されたこの曲線は、視覚的な柔らかさを生むと同時に、スツールを前後に移動させるための実用的な把手として機能します。装飾ではなく、用途から導かれた造形です。

座面は伝統的な張り込み構造によって構成され、内部にはスプリングが組み込まれています。適切な反発力と保持力を両立し、長時間の演奏にも対応する設計です。木部はチークまたはオークで製作され、時間の経過とともに経年変化による深みを増します。

AP30 は専門用途のために設計されたモデルですが、その均整の取れたプロポーションにより、現代の住空間でも自然に調和します。機能を徹底的に追求することが、結果として普遍的な造形へと昇華する。その姿勢こそが、このスツールの本質です。

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