About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: AP Stolen(APストーレン)
Year: 1951
Material: Oak, Teak
Size: W72 × D80 × H100 cm / SH41 cm
Story
AP15 ハイバック・イージーチェアは、1951年にハンス・J・ウェグナーがデザインし、APストーレン社によって製造された作品です。同年には代表作であるパパベアチェアも誕生しており、ウェグナーがハイバック・ラウンジチェアの理想形を集中的に追求していた時期に生み出された一脚です。
AP15の特徴は、頭部をしっかりと支える広いウィングと、優雅にカーブするアームレストにあります。細身のフレームと後傾姿勢を促す脚部の設計により、すっきりとした佇まいを持ちながらも高い快適性を実現しています。内部にはオリジナルの圧縮スプリングが組み込まれており、外観の美しさと人間工学的な配慮を両立した設計です。
素材にはオークやチークといった上質な木材が用いられ、シームレスな接合部や有機的なラインは、ウェグナーならではの精緻な木工技術を物語っています。これらのディテールは単なる意匠ではなく、耐久性と快適性を両立するための合理的な工夫でもあります。
AP15は、同時期に誕生したパパベアチェアと比較されることが多く、パパベアの堂々とした存在感に対し、より軽快で洗練された解釈といえます。両者は姉妹作のような関係にあり、ウェグナーがリアルタイムで試みた「デザインの変奏曲」の一例として理解できます。
ウェグナーが掲げた「オーガニック・ファンクショナリズム」の哲学は、この椅子にも明確に反映されています。自然なラインと機能性の調和、素材への敬意、そして職人技の精緻さが融合し、AP15は単なる家具ではなく、デンマークモダンの理念を体現した芸術的な作品として位置づけられます。
