About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: AP Stolen(APストーレン) / Getama(ゲタマ)
Year: 1957
Material: Steel, Oak, Teak, Fabric, Leather
Size: W76 × D76 × H72 cm(1人掛) / W148 × D76 × H72 cm(2人掛) / W210 × D76 × H72 cm(3人掛) / W255 × D76 × H72 cm(4人掛)
Story
AP34シリーズは、ハンス・J・ウェグナーが1950年代後半に発表した代表的なソファ・チェアシリーズです。コペンハーゲンのカストラップ空港のためにデザインされたことから「エアポートシリーズ」と呼ばれ、デンマークモダンにおける公共空間用家具の新しい可能性を示しました。
鋼鉄製の脚部を持つ標準モデルは、戦後の復興期に急増した空港や市庁舎などの公共建築に最適化されており、耐久性と量産性を兼ね備えた工業的モダニズムを体現しています。それでいて、シェル全体を布や革で覆った快適な座り心地は、ウェグナーが掲げた「オーガニック・ファンクショナリズム」を失うことなく具現化しています。
一方で、木製脚部を採用したAP34Tは特別なバリエーションであり、工業的フォルムに伝統的なデンマーク家具職人の技術を組み合わせた作品です。脚部にはチークやオークといった高貴な木材が使われ、家庭のインテリアにも自然に調和する温かみを備えました。
このシリーズは、1人掛けのアームチェアから4人掛けの長大なソファまで幅広いバリエーションが展開され、公共空間から個人住宅まで柔軟に対応できるモジュール式家具の先駆けでもありました。
製造は当初AP Stolenが手掛け、その後1970年代にGetamaが引き継いで「GE34」として再生産を行いました。これにより、デザインは途絶えることなく継承され、今日でもコレクターや愛好家の間で高く評価されています。

