About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: AP Stolen(APストーレン)
Year: 1960
Material: Oak, Teak, Leather, Fabric
Size: W79 × D77 × H77 cm(ラウンジチェア) / W193 × D77 × H77 cm(3人掛けソファ)
Story
AP61ソファコレクションは、ハンス・J・ウェグナーが1960年代初頭にAP Stolenのためにデザインした、非常に稀少な総張りシリーズです。そのフォルムは建築的でありながら温かみがあり、包み込むような座り心地を追求して設計されています。
このシリーズは、ラウンジチェア、2人掛け、3人掛け、4人掛けのソファに加え、背もたれを高めたハイバックバージョンも展開されていました。ウェグナーはここで純粋な布張りの造形美を徹底して探求し、後継のAP62やAP63とは異なり、木製フレームの露出をほとんど排した一体的なボリュームを実現しました。
その特徴的なディテールは、厚みのある張りぐるみの本体と、先端に向かって細くなる木製の脚とのコントラストにあります。シンプルながらも洗練された構造は、AP Stolen社の高い椅子張り技術と、ウェグナーの有機的機能主義が見事に融合した成果でした。
今日ではAP61シリーズの現存例はほとんど確認されておらず、市場にも出回らない極めて希少なモデルです。そのため、このシリーズを知る上で当時のカタログ資料が重要な一次史料となっており、ウェグナー研究における「失われた作品群」のひとつと位置づけられています。

