About
Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ヴィッツ & オーラ・モルゴー=ニールセン)
Manufacturer: Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)
Year: 1950
Material: Oak, Walnut, Plywood
Size: W 60 × D 70 × H 78 × SH 40 cm
Story
AXラウンジチェアは、1950年にピーター・ヴィッツとオーラ・モルゴー=ニールセンによってデザインされ、フリッツ・ハンセンから発表された革新的な作品です。戦後の「デザインの民主化」という潮流のもと、分解と組立が容易なノックダウン構造を導入したことで、輸送効率を高め、デンマーク家具の国際的な普及に大きな役割を果たしました。
この椅子の最大の特徴は、三次元成形合板の採用です。背もたれから座面、アームレストまでが連続する曲線で構成され、視覚的にも造形的にも一体感のあるフォルムを実現しています。張り地を必要とせずに快適な座り心地を提供できるのは、デザイナーが人間工学と身体測定学を設計に反映させた成果です。
素材にはオークやウォールナットの突板が用いられ、ラメラ接着と呼ばれる技術によって多方向への曲げ加工を可能にしました。この技術は木製テニスラケットの製造に似ており、積層された木材が強度と柔軟性を兼ね備え、さらに木目のコントラストによる美しさを引き出しています。
AXラウンジチェアはニューヨーク近代美術館(MoMA)の「低コスト家具デザイン国際コンペティション」での実験に端を発し、製品化後は世界市場で高い評価を得ました。同時期にHvidt & Mølgaardは<a href=”https://denmark-design.com/france-daverkosen/”>France & Daverkosen(France & Son)</a>のためにも数多くの家具を設計し、輸出市場の拡大に貢献しました。
現在、AXラウンジチェアは&traditionによって復刻されており、当時の革新性を受け継ぎながら現代の空間にも調和する存在として親しまれています。クラフトマンシップと工業技術、人間工学が融合したこの椅子は、デンマークモダンデザインを象徴する不朽の名作といえます。