RY420 Bed | ベッドシステム


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: RY Møbler(ロユ・モブラー)
Year: 1960s
Material: Teak or Oak
Size: L2000 × W850 / 1000 / 1400 × H290 mm


Story

RY420は、ハンス・J・ウェグナーがロユ・モブラーのために設計したベッドシステムです。ウェグナーは「椅子の巨匠」として知られていますが、彼の設計思想は椅子に限定されるものではなく、住空間全体を一つの建築として構想する視点に貫かれています。本作はその思想が最も明確に表れたプロダクトの一つです。

このモデルはカタログ上で「Briks(ブリクス)」と表記され、ベッドでありながらデイベッドやオットマン的な機能も内包する多義的な家具として位置づけられています。頭側と脚側に設けられた「2 lave gavle(2枚の低い端板)」は高さを抑え、空間に対する圧迫感を極限まで軽減しています。その水平性は、まるで建築の基壇のように室内を静かに規定します。

構造面では、サイドフレームとエンドボードを精密なジョイントで接合するノックダウン方式を採用しています。工具を多用せずとも強固に組み上がる設計は、ロユ・モブラーの高度なキャビネットメイキング技術を前提としています。ベッドという大型家具でありながら、輸送や設置を合理的に解決するこの構造は、ウェグナーの機能主義的思考を如実に示しています。

マットレスベースにはスプリングボトム(Guldbund)とスラットボトム(Tremmebund)の選択肢が用意され、用途や寝心地に応じた構成が可能でした。単なる寝具ではなく、空間の中での振る舞いまで計算されたシステム設計こそがRY420の本質です。

素材は主にチークまたはオークが用いられました。チークは深みのある色調と落ち着いた経年変化をもたらし、オークはより明瞭な木目と堅牢な印象を与えます。いずれの仕様においても、直線的で無駄のない構成と木口の精緻な仕上げが、この作品を静かな造形美へと昇華させています。

RY420は、同社の収納家具やサイドボードと共通する設計言語を持ち、空間全体の水平ラインを整える役割を担います。それは単なるベッドではなく、室内に秩序を与える建築的装置です。ウェグナーが追求した「機能的純粋性」と「素材への敬意」は、本作において最も明快なかたちで結実しています。

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