RY20 Cabinet | RY20 キャビネット


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: RY Møbler(ロユ・モブラー)
Year: 1953
Material: Teak / Oak / Teak or Oak veneered / Glass / Cane woven panels
Size: W1800 × D500 × H1800 mm


Story

RY20は1953年に発表された、ハンス・J・ウェグナーによるRY Møblerの代表的ハイキャビネットです。1950年代初頭、ウェグナーは椅子だけでなく収納家具においても建築的な思考を明確に打ち出し始めており、本作はその転換点を象徴するモデルのひとつです。

寸法は高さ180cm、幅180cm、奥行50cm。ほぼ正方形のプロポーションを持つ堂々とした構成ですが、上下二段の分節と中央の抜けによって視覚的な軽さが生まれています。下段は6杯の引き出しを備えたチェスト構造、上段は引き戸式キャビネットとなり、その間に設けられた空間が圧迫感を抑制しています。大型家具でありながら空間に呼吸を与える設計です。

素材展開はカタログ準拠で、Teak、Oak、さらにTeakまたはOakの突板仕様が確認されています。上段扉はGlass仕様、またはCane woven panels(籐編み)仕様から選択可能でした。籐(ラタン)は光を透過させ、上段のボリュームを軽減する効果を持ちます。無垢材の量感と編み素材の透過性の対比は、ウェグナーの設計思想を明確に示しています。

構造面では、側面フレームが上下ユニットを外側から保持する設計となっています。このフレーム構造は強度を確保しながらも、脚部を細身に見せる視覚的効果を生み出します。脚部はテーパード処理が施され、重量家具特有の鈍重さを排除しています。

内部には可動棚を備え、下段引き出しは用途別収納を前提とした合理的設計です。また、上段・下段・左右フレームへと分解可能な構造を採用しており、当時の輸出志向を反映した実用的な設計思想が見て取れます。

RY20は単なる収納家具ではありません。壁面に置かれたとき、それは空間の重心を規定する建築的存在となります。1953年という時代背景の中で、ウェグナーは家具を“空間の構造体”として再定義しました。本作は、その思想が最も明確に表れたキャビネットのひとつです。

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