About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Year: 1950
Material: Oak, Walnut, Teak, Paper Cord
Size: W695 × D615 × H725(SH370)mm
Story
CH22イージーチェアは、1950年にハンス・J・ウェグナーがカール・ハンセン&サンのためにデザインした、デビューコレクションの一脚です。CH23、CH24(ウィッシュボーンチェア)、CH25、CH26と共に発表されたこのシリーズは、当時として革新的でありながらも、シンプルで日常使いに適した造形を備えていました。シリーズ全体に共通するのは、伝統的な家具の意匠と現代的な機能美を融合させる姿勢です。
ウェグナーは指物師としての経験を通じて、木材の特性や伝統的な接合技術を深く理解していました。CH22ではその知識が余すことなく活かされ、フィンガージョイントや木製くさびといった構造要素が意匠として前面に現れています。これらは単なる強度確保のための技術ではなく、椅子全体の造形美を構成する重要なデザイン要素となっています。
背もたれは成形合板によるやわらかな曲線を描き、パドル型のアームレストが自然な姿勢を支えます。座面は手織りの紙ひもによるエンベロープ織りで、張りのあるしっかりとした感触と長時間座っても快適な座り心地を両立。低めの座面高はラウンジチェアとしてのくつろぎを生み出し、全体として温かみのあるプロポーションを形成しています。
2016年、カール・ハンセン&サンはCH22の再生産を開始しました。この際、現代の精密加工技術を用いることで、ウェグナーが当初の設計図で構想していた前脚の形状を忠実に再現。また、FSC認証木材を採用し、環境への配慮も加えています。こうした復刻は単なる過去作の再現ではなく、オリジナルの美学と職人技を未来へ継承する試みであり、CH22は現代においてもデンマークモダンの象徴として高く評価され続けています。

