AP59 Combination Sofa | コンビネーションソファ


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: AP-Stolen
Year: 1960
Material: Oak or Teak frame, Fabric or Leather upholstery
Size: Unit size varies


Story

AP-59 Combination Sofa は、ハンス・J・ウェグナーが1960年に発表したモジュール式ソファです。1950年代の有機的で彫刻的な造形から、より建築的で直線的な構成へと移行する過程を示す重要なモデルとして位置付けられています。

ウェグナーとAP-Stolenの協働は、パパベアチェア(AP-19)をはじめとする数々の名作を生み出しましたが、AP-59では「組み合わせ」という概念そのものが主題となっています。単体の完成度を追求するだけでなく、空間全体をどう構成するかという視点が前面に現れた作品です。

このソファは、アームレスユニット、片アームユニット、コーナーユニットなどを組み合わせることで、直線配置からL字型まで柔軟に構成できます。当時の住宅事情や公共空間の拡張性に対応する設計であり、モジュール家具という思想をウェグナー流に再解釈したものといえます。

構造は明快です。内部フレームには堅牢な広葉樹が用いられ、脚部にはオークまたはチークの丸脚が取り付けられます。重厚な張地ボディを細身の脚で支えることで、視覚的な軽さを生み出しています。このバランス感覚は、ウェグナーが常に追求した「構造的純粋さ」を体現しています。

座面は適切な反発力と支持性を両立する構造で設計されています。過度に沈み込まず、身体を安定して受け止める感覚は、長時間の使用を前提とした合理的な設計思想の表れです。直線的な外観の中にも、人間工学的配慮によるわずかな傾斜や角度調整が組み込まれています。

AP-59は、ウェグナーの作品群の中でも特に「システム」という概念を明確に示したモデルです。個々の家具が空間の一部であるという考え方を、明快なモジュール構成で提示した点に、このソファの歴史的意義があります。

装飾を削ぎ落とした端正なフォルムは、発表から半世紀以上を経た現在でも多様な空間に自然に調和します。AP-59は、デンマーク・モダニズムが生活空間全体を再設計しようとした時代の思想を、静かに物語る存在です。

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