About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: GETAMA(ゲタマ)
Year: 1960s
Material: Oak or Teak, Upholstered
Size: W840 × D830 × H740 mm
Story
GE330は、ハンス・J・ウェグナーが1960年代にGETAMAのためにデザインしたイージーチェアです。1950年代の代表作GE290に続く時期に発表され、より量感を伴った構成へと展開していく過程を示すモデルとして位置づけられます。
本作の造形を決定づけているのは、前方へ緩やかに広がる幅広のアームです。水平に整えられたアーム上面は、肘を自然に支える実用的な形状でありながら、全体の重心を視覚的に低く見せる役割も果たしています。直線を基調としつつ、接合部ではわずかな曲面処理が施され、木部の厚みとプロポーションによって彫刻的な存在感が生まれています。
背面は縦桟によって構成され、構造が明快に表現されています。後脚はやや後傾し、全体に安定感をもたらします。この低重心の構えは、空間に静かな緊張感を与え、重厚で落ち着いた印象を形成します。
座面および背のクッションは、厚みのあるパディングによって身体を受け止める構成です。木製フレームの剛性とクッションの柔軟性が組み合わさることで、安定した着座姿勢を保ちます。過度な機構に頼るのではなく、フレーム構造と素材のバランスによって快適性を導く点に、ウェグナーの設計思想が表れています。
GE330は、軽快さを特徴とするGE290とは異なり、量感と安定感を前面に出したモデルです。構造を素直に見せながら、木部の存在感を強調することで、1960年代のウェグナーが到達した成熟した造形言語を体現しています。デンマーク・モダンの中でも、重厚さと節度を併せ持つ一脚として評価される作品です。


