Finn Juhl | フィン・ユール


Finn Juhl(フィン・ユール)は、デンマーク家具デザインの「黄金期」を築いたデンマークで最も偉大なデザイナーであり建築家です。彼は当時のデザイナーとしては珍しく、家具職人としての経験がなかったため、構造にとらわれない自由な発想で家具をデザインしました。そのデザインは家具職人Niels Vodder(ニールス・ヴォッダー)の高度な木工技術がなければ実現しなかったと言われています。抽象芸術から影響を受けた、彫刻作品のような有機的なフォルムの作品が特徴です。

フィン・ユールのデザインは同時代のコーア・クリント派の厳密な機能主義や伝統への固執とは一線を画し、抽象芸術から強いインスピレーションを得ていました。彼は家具を単に「座るための機械」と見なすことに反対し、機能的であると同時に、周囲と調和し、人々を惹きつける芸術的な要素を備えているべきだと考えました。彼の家具は、アートと日常的に使用するオブジェの境界線上にあるものと見なされていました。

フィン・ユールの家具の大きな特徴は、彫刻的で有機的なフォルムです。直線的で角張ったクリントの家具とは対照的に、ユールの家具は丸みを帯びています。特に彼の最高傑作の多くは、ある種の軽さと彫刻的なフォルムを持っています。これは、トレードマークともいえる、座面と椅子の支持部分を視覚的に分離する手法によって実現されています。これにより、シートが浮遊しているかのような軽やかな印象を与えています。彼の最高傑作の一つであるNV45 チェアは、ニューヨーク・タイムズ紙に「木彫りの彫刻」と評されました。 フィン・ユールは、機能性を重視する姿勢においてコーア・クリントの影響を一部認めていますが、クリントの幾何学的・数学的な手法や過去の伝統に倣う表現方法には批判的でした。彼は、家具職人の伝統とクリント派がデンマーク家具デザインの発展の「厳しい足かせ」になっていたと述べています。

フィン・ユールのデザインは、家具職人との緊密な協力によって実現されました。特に、家具職人ニールス・ヴォッダーとの協働は彼のキャリアにおいて非常に重要でした。ヴォッダーはユールの複雑なデザインを、高度な木工技術を駆使して具現化しました。一方で、ユールは家具をより広い社会に提供するという機能主義的な理想から、機械生産にも関心を持っていました。しかし、職人による少量生産から大量生産への移行は、彼のデザインの質や独自性を維持する上で困難を伴いました。

フィン・ユールはデンマーク・モダンの国際化、特にアメリカ市場への貢献において極めて重要な人物です。彼のデザインは、デンマーク家具の高品質な木工技術とモダンなスタイルをアメリカに紹介し、ニューヨーク近代美術館での展示や購入、国連ビル信託統治理事会議場のデザイン、シカゴのグッドデザイン展などを通じてその影響力は広がりました。フィン・ユールの彫刻的で有機的な独自のスタイルは、クリント派とは異なるデンマーク家具デザインの多様性を示し、後続のデザイナーに新たな表現の可能性を示唆しました。ニールス・ヴォッダーとの協働は、建築家と職人が一体となって革新的な作品を生み出すモデルとなり、デンマーク家具の高い品質を世界に知らしめました。


About

Year:1912–1989
Place:Frederiksberg(フレデリクスベア)
Manufacturer:Niels Vodder(ニールス・ヴォッダー)Bovirke(ボヴィルケ)Søren Willadsen(ソーレン・ヴィラッドセン)France & Søn(フランス&サン)Baker Furniture(ベーカー・ファニチャー)Ivan Schlechter(イヴァン・シュレクター)Kay Bojesen(カイ・ボイスン)Niels Roth Andersen(ニールス・ロス・アナセン)House of Finn Juhl(ハウス・オブ・フィン・ユール)


History

1912

フレデリクスベア(コペンハーゲン)で生まれる。

1930

王立デンマーク美術アカデミー建築科に入学し、ストックホルム博覧会を訪れる。

1934

ヴィルヘルム・ラウリッツェン建築事務所に入所する。

1937

家具職人ギルド展に初出展、ニルス・ヴォッダーと協働開始する。
インゲ=マリー・スカーラップと結婚する。

1938

グラスホッパーチェアを発表する。

1940

ペリカンチェアとペリカンテーブルを発表する。

1941

ポエトソファを発表する。

1942

デンマーク建築家協会会員に選出され、オルドルップに自宅を建設する。

1943

C.F.ハンセン賞を受賞する。

1944

ボーンチェア(NV44)をデザインする。

1945

ヴィルヘルム・ラウリッツェン建築事務所を退所し、自身のデザイン事務所を開設する。
室内装飾学校の校長に就任する。45チェアをデザインする。

1946

ビング&グロンダール店舗をデザインする。46ソファと108チェアをデザインする。

1947

ビング&グロンダール店舗のインテリアデザインでエッカーズベルグメダルを受賞する。

1948

48シリーズとアートコレクターズテーブルを発表する。
ボヴィルケのためにデザインを開始する。エドガー・カウフマン・ジュニアと出会う。

1949

チーフテンチェアとエジプシャンチェアを発表する。

1950

ロンドンの展覧会に参加し、アメリカでデビューする。

1951

シカゴのグッドデザイン展のチーフデザイナーに任命され、国連本部信託統治理事会会議場をデザインする。ベイカーファニチャー社と提携を開始する。

1952

信託統治理事会会議場が開場し、国際的な評価を得る。

1953

国際的な活動が活発化し、ボーヴィルケやフランス&ダヴェルコセンと協働する。

1954

ロンドンの展覧会をキュレーションし、ミラノトリエンナーレで名誉賞を受賞する。

1955

ヴィラビューエルネ映画館やフランス&サン社のオフィスをデザインする。

1956

フランス&ダヴェルコセン向けに工業生産用家具をデザインする。スカンジナビア航空のチケットオフィスと航空機内装のデザインを開始する。

1957

ニルス・ヴォッダーとの長年の協力関係が終了する。ゲオルグ・イェンセンのロンドン店舗を再設計する。57ソファをデザインし、ミラノトリエンナーレで金メダルを受賞する。

1960

ワシントンD.C.のデンマーク大使館の装飾を担当し、アメリカ各地で「デンマークの芸術」展に参加する。

1961

音楽出版社のハンネ・ヴィルヘルム・ハンセンとパートナー関係になり、カウフマン国際デザイン賞を受賞する。

1964

シカゴでI.D.A.デザイン賞を受賞する。

1970

シャルロッテンボー秋の展覧会で自身の回顧展を開催する。

1978

ロンドンで名誉ロイヤルデザイナー・フォー・インダストリーに任命される。

1982

コペンハーゲンのクンストインダストリムーゼウム(現デザインミュージアム・デンマーク)で回顧展を開催する。

1984

ダンネブロ勲章を受章する。

1989

5月17日に死去する。

2001

Onecollection が復刻権を取得、House of Finn Juhl を組成

2003

Finn Juhl Prize 創設、椅子デザインの功績顕彰を制度化

2012

生誕100年関連企画で学術・市場双方の評価が定着

2022

東京都美術館「フィン・ユールとデンマークの椅子」開催、アジアでの認知が一段深化


Furniture

BO46 Sofa | ソファ

BO59 Fireplace Chair | ファイアープレイスチェア

BO63 Dining Chair | ダイニングチェア

BO72 Armchair | アームチェア

BO103 Daybed | デイベッド

BO64 Sofa | ソファ

BO69 Nyhavn Desk | ニューハウンデスク

BO71 Wall Unit | ウォールユニット

FJ 4920 Drop-Leaf Coffee Table | ドロップリーフ コーヒーテーブル

Bovirke Table | ボヴィルケ・テーブル

Diplomat Series Wall Unit | ディプロマット・シリーズ・ウォールユニット

FD540 Dining Table | ダイニングテーブル

FD535 Occasional Table | オケーショナルテーブル

FD534 Occasional Table | オケーショナルテーブル

FD533 Occasional Table | オケージョナルテーブル

FD531 Occasional Table | オケーショナル・テーブル

FD140 f Footstool | フットスツール

FD210 Office Swivel Chair | オフィス・スイベル・チェア

FD198 Dining Chair | ダイニングチェア

FD192 Conference Chair | カンファレンスチェア

FD197 Stacking Chair | スタッキングチェア

FD191 Dining Chair | ダイニングチェア

Dream table | ザ・ドリームテーブル

Coffee Table | コーヒーテーブル

BO62 Reading Chair | リーディングチェア

NV53 Sofa | ソファ

Globe Cabinet | グローブ・キャビネット

BO101 Table/Bench | テーブル/ベンチ

NV45 Sofa | ソファ

FD218 Jupiter | ジュピターチェア

FD209 Diplomat Chair | ディプロマットチェア

FD152 Bwana Chair | ブワナチェア

FD141 Easy chair | イージーチェア

FD138 Easy chair | イージーチェア

FD136 Lounge Chair | フランスチェア

FD137 Japan Chair | ジャパンチェア

FD133 Spade Chair | スペードチェア

FJ49 Judas Table | ジュダス・テーブル

Eye Table | アイ・テーブル

Little Mother Sofa | リトル・マザー・ソファ

NV-51 Delegate Chair | デレゲート・チェア

Chieftain Chair | チーフテンチェア

Elephant Sofa | エレファントソファ

Pelican Chair | ペリカン・チェア

FJ-3800 Grasshopper Chair | グラスホッパー・チェア

NV53 Chair | NV53チェア

Poet Sofa | ポエトソファ

NV45 Chair | イージーチェア

NV48 Armchair | アームチェア

Egyptian Chair | エジプシャンチェア

NV44 Chair | チェア

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