Flag Halyard Chair PP225 | フラッグハリヤードチェア

About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: GETAMA(ゲタマ)PP Møbler(PPモブラー)
Year: 1950
Material: Stainless Steel, Flag Line, Sheepskin, Leather, Fabric
Size: W1040 × D1150 × H800 mm(SH380 mm)


Story

フラッグハリヤードチェアは、ハンス・J・ウェグナーが1950年にデザインしたラウンジチェアで、彼のキャリアにおける革新的な転換点を象徴する作品です。木材を中心とした膨大な作品群の中で、ステンレススチールという異なる素材に果敢に挑戦し、モダニズムの要素と有機的な快適性を融合させた特異な存在となっています。

 

デザインの着想は、夏の海辺で砂に体を埋め、理想的なリクライニング角度を探っていた経験から生まれました。この偶発的な発見をスケッチに落とし込み、人間工学に基づく快適性と造形美を両立させた構造が形づくられました。ル・コルビュジエやミース・ファン・デル・ローエら初期モダニストへの敬意を示しつつ、シープスキンやロープなどの自然素材を組み合わせ、冷たい工業的素材に温かみを加えています。

 

フレームはソリッドステンレススチール製で、240メートルにも及ぶ特注のフラッグラインが、熟練した職人によって約14時間かけて手織りされています。座面はハンモックのように身体を包み込み、シープスキンとネッククッションが極上のリラックス感を提供します。シープスキンはアイスランド産で、持続可能な副産物を使用し、クロムを使わずに加工されています。

 

製造はデンマークのPPモブラーが担当し、すべて受注生産で作られるため、完成までに15〜24週間を要します。大量生産とは一線を画し、素材選びから仕上げに至るまで一脚ずつ丁寧に作り上げられるため、その品質と存在感は格別です。

 

発表以来70年以上経った今も生産が続けられており、美術館のコレクションや映画『007 サンダーボール作戦』への登場など、文化的アイコンとしての地位も確立しています。フラッグハリヤードチェアは、素材の探求、職人技、そして人間中心の快適性が融合した、時代を超えて愛され続ける名作です。

 

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