GE672 Stacking Easy Chair | スタッキング イージーチェア


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: GETAMA(ゲタマ)
Year: 1967
Material: Oak Wood / Upholstered or Paper Cord
Size: W630 × D690 × H700 mm


Story

GE672は、1967年に発表されたハンス・J・ウェグナー後期の実験的モデルのひとつです。イージーチェアでありながらスタッキング(積み重ね)を可能にするという設計は、従来のラウンジチェアの常識を静かに更新するものでした。快適性と軽快さ、そして収納性を同時に成立させるという課題に対する、ウェグナーの明確な回答といえます。

フレームにはオーク材の成型合板が用いられ、脚部から背へと連続するカーブが一体的に形成されています。この構造は視覚的な流動感を生み出すだけでなく、強度と軽量性を両立させるための合理的な解決策でもあります。重厚になりがちなイージーチェアを、都市的な生活環境に適応させるという思想が、構造そのものに内包されています。

座面仕様にはペーパーコード張りや張地仕様が展開され、用途や空間に応じた選択が可能でした。とりわけペーパーコード仕様は、開放的なフレーム構造と相まって彫刻的な印象を強め、1960年代後半のモダンな空気を色濃く反映しています。素材の違いによって表情が変化する点も、ウェグナーらしい設計の柔軟性といえるでしょう。

発表当時は高度な成型技術を必要としたため生産期間は限定的でしたが、その構造的完成度は半世紀を経た現在も色褪せません。機能主義と彫刻性を融合させるというウェグナーの思想は、GE672において明確なかたちを持ち、日常空間の中に静かな緊張感と造形的な美をもたらしています。

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