About
Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ヴィッツ & オーラ・モルゴー=ニールセン)
Manufacturer: Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)
Year: 1959
Material: Oak veneer, Walnut, Rattan, Stainless steel
Size: W74 × D72 × H72 × SH33 cm
Story
HM10 X Lounge Chairは、1959年にピーター・ヴィッツとオーラ・モルゴー=ニールセンのデザインデュオによって発表されました。彼らは、デンマーク・モダニズムを代表する存在であり、伝統的な職人技と工業的アプローチを融合させる姿勢で知られています。
この椅子の最大の特徴は、フレームが交差する「X」字型の構造にあります。背面と脚部が交差する部分にはソリッドのクルミ材が挿入され、成形プレスされたオークベニヤとのコントラストを際立たせています。これは構造強化と意匠的効果を同時に達成する巧みな設計です。
座面には天然の籐(ラタン)が採用され、軽快さと快適な座り心地を提供します。さらに重量はわずか6.27kgと軽量で、輸送や配置換えの利便性にも優れています。機能性と美学が高次元で統合された例といえます。
HM10は、先行するAXチェアの3D成形合板技術を基盤としつつ、工業化を超えて構造美と素材感を追求した進化形です。AXチェアが輸出性や低コストを重視したのに対し、Xラウンジチェアはデザインの成熟と洗練に焦点を当てています。
現在は&Traditionによって復刻され、FSC®認証木材の使用や厳格な品質基準を満たす仕様で製造されています。MoMAなど世界の美術館に収蔵されており、デザイン史における重要な遺産として高い評価を受けています。