JH554 Sofa | ソファ


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: Johannes Hansen
Year: 1944
Material: Oak or Teak Upholstered
Size: W1800 × D750 × H730 × SH390 mm


Story

JH 554は、1944年に発表されたウェグナー初期を代表するソファです。製作は名門工房ヨハネス・ハンセンによるもので、当時のコペンハーゲン家具職人ギルド展で発表されました。戦時下という制約の中で生み出された本作は、素材と構造を徹底的に吟味する姿勢が色濃く表れたモデルです。

最大の特徴は、壁付けを前提としない「フリースタンディング」という思想にあります。背面まで丁寧に張り込まれたフォルムは、空間の中央に置かれることを想定して設計されています。どの角度から見ても破綻のない量感と曲線処理は、家具を建築的要素として捉えるウェグナーの視点を明確に示しています。

構造は堅牢な内部木枠を基礎とし、三人掛けという長いスパンを安定して支えます。初期にはオーク材の脚部が多く見られ、戦時下の素材事情を反映した力強い印象を備えています。1950年代に入るとチーク材仕様も展開され、より洗練されたテーパードレッグへと変化しました。張地は高品質なテキスタイルを前提とし、内部にはスプリングと天然素材のパディングを用いた伝統的な構成が採用されています。

後年の量産志向モデルとは異なり、JH 554は小規模工房で丁寧に製作された工芸的性格の強い作品です。有機的なカーブと重心の低いプロポーションは、初期デンマーク・モダニズムにおける量感表現の到達点といえます。ウェグナーがその後に展開するソファ設計の原点として、本作は極めて重要な位置を占めています。

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