About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: Johannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)
Year: 1950
Material: Teak or Oak or Mahogany, Upholstered
Size: W500 × D520 × H760 × SH430 mm
Story
JH510は、ハンス・J・ウェグナーがヨハネス・ハンセン工房のために設計したアームレス仕様のサイドチェアです。1940年に始まった両者の協働関係は、家具職人ギルド展を通じて数々の名作を生み出しました。本作はその流れの中で、構造の純度と空間への適応性を追求したモデルとして位置付けられます。
アームを排した構成は、視覚的な軽快さと機能的な柔軟性を同時に実現しています。ダイニング用途を想定した寸法バランスにより、複数脚を並べた際にも空間に過度な圧迫感を与えません。背もたれは緩やかな曲線で成形され、背中を点ではなく面で受け止める設計となっています。曲線は人間工学的配慮によって実現されています。
構造面では、後脚から背もたれへと連続するフレームラインが大きな特徴です。接合部は精緻なほぞ組によって強固に固定され、外観上は一本の木材が自然に伸びたかのような滑らかな造形を描きます。脚部は先端に向かって繊細にテーパーをかけることで、安定性を確保しながらも軽やかな印象を与えます。単純な構成であるからこそ、各部の寸法比と加工精度が全体の質を決定づけています。
素材はチーク、オーク、マホガニーなどが展開され、座面は張地仕様または籐(ラタン)仕様が確認されています。木部の堅牢さと座面の柔軟性は、機能と造形の両立というウェグナーの思想を明確に示しています。JH510は、装飾を削ぎ落とし、構造そのものを美として提示するデンマークモダンの理念を体現した一脚です。