JH563 Desk | デスク


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: Johannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)
Year: 1950
Material: Teak, Oak, Brass
Size: W171 × D83 × H73 cm


Story

JH563デスクは、1950年のコペンハーゲン家具職人ギルド展で発表されたハンス・J・ウェグナーの代表的なデスクであり、ヨハネス・ハンセン工房によって製作されました。単なる実用家具を超え、デンマーク・モダンの精神を体現する文化的工芸品として位置づけられます。

最大の特徴は中央に走るV字型の貫(ストレッチャー)で、天板の構造を支えると同時に彫刻的な美を添えています。この意匠により「V Desk」「Wishbone Desk」とも呼ばれ、デスク全体を引き締める造形的要素となっています。

また、両側に配置された抽斗は脚部から独立して吊り下げられ、浮遊するように見える構造が採用されています。これによりデスクに軽やかさが生まれ、壁際ではなく空間の中央に置いても映える「フリースタンディング」の思想を体現しています。

素材は天板と抽斗にチーク、脚部とフレームにオークを組み合わせ、さらに真鍮の金具を使用することで、堅牢さと上質さを兼ね備えています。抽斗の取っ手は無垢材から削り出された一体成形で、見えない部分のレールにも真鍮を使うなど、工房の妥協なき職人技が細部に宿っています。

ヨハネス・ハンセン工房との協業は、ウェグナーの思想を最も精緻に具現化した関係であり、このデスクはその結晶といえます。再生産は行われず、当時のオリジナルのみが存在するため、現在では極めて希少な作品です。構造の誠実さ、素材の美しさ、そして哲学的な思想を兼ね備えたJH563は、20世紀デンマーク・モダンの精神を象徴する不朽のアイコンとして評価されています。

 

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