AP41 Kastrup Stool | カストラップ・スツール


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: AP Stolen
Year: 1958
Material: Steel, Fabric or Leather
Size: W580 × D400 × H370 mm


Story

AP41 カストラップ・スツールは、1950年代後半にウェグナーが公共空間向けの家具として構想した「カストラップ(エアポート)」系統の一角を担うプロダクトです。住宅のための木製家具で知られるウェグナーが、耐久性と清掃性、そして視覚的な軽快さが求められる空港ラウンジの文脈へ応答した点に、本作の性格が端的に表れています。

構成は、ステンレススチールのチューブフレームと、薄く整ったクッション面という二層で成り立ちます。外見はあくまで簡潔ですが、座面内部には木製フレームが組み込まれ、スチール脚部との結節点に強度と安定性を与えています。金属の剛性と、木の受け止め方を併用する設計は、工業素材を扱いながらも「家具らしい座り」を成立させるための合理的な選択といえます。

脚部は床に向かってわずかに開くプロポーションで、視覚的な安定と軽快さを両立しています。さらに、張り込みの固定金具を外から見せない処理が徹底されている点も重要です。構造上必要な要素を内部へ整理し、輪郭だけで成立するようにまとめることで、公共空間に置かれてもノイズにならない静かな存在感を獲得しています。

同じ系列のラウンジチェアと組み合わせて補助的に用いられることも想定されていますが、単体でも独立した小さなシーティングとして成立する密度があります。短時間の滞在で姿勢を切り替えやすい硬さ、動線を妨げにくい外形、そしてどの方向から見ても破綻しない整理された面構成が、公共家具としての完成度を支えています。

AP Stolenが得意とした張り込み技術の蓄積は、こうしたミニマルな外観の中にも反映されています。クッションのエッジ処理や面の張りの均一さは、単なる「簡素化」ではなく、工程の精度を前提にした静けさです。木工と張り、金属フレームが同居するこのスツールは、ウェグナーが機能と造形の均衡を公共空間へ持ち込んだ到達点のひとつとして位置づけられます。

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