Kay Bojesen | カイ・ボイスン

Kay Bojesen(カイ・ボイスン)の肖像写真

About|基本情報

Lifespan: 1886–1958
Birthplace: Copenhagen(コペンハーゲン)
Manufacturers: Kay Bojesen(カイ・ボイスン)、Rosendahl Design Group(ローゼンダール・デザイン・グループ)


Story|人物とデザイン

カイ・ボイスン(Kay Bojesen, 1886–1958)は、20世紀デンマークを代表する工芸家・デザイナーである。銀細工師として出発し、カトラリーやテーブルウェア、木製玩具、オブジェ、生活用品まで幅広く手がけた。機能を重視しながら、手に触れたときの親しみやすさやユーモアを形に取り込んだ点に、その仕事の大きな特徴がある。

コペンハーゲンで育ち、1907年にGeorg Jensen(ゲオルグ・イェンセン)の銀工房で修業を始めた。1910年に銀細工師の資格を得た後、ドイツやパリで経験を積み、1913年にコペンハーゲンで自身の工房を開いた。初期にはアール・ヌーヴォーの影響を受けた装飾的な銀器も制作したが、次第に滑らかな面と簡潔な輪郭を重視する機能主義へと向かっていった。

1919年に息子オットーが生まれたことも、子どものための道具や玩具を考える契機となった。1922年にはDansk Arbejde(デンマーク仕事協会)の玩具コンペティションで評価を受け、木製玩具の制作を本格化させる。動物を写実的に再現するのではなく、円柱や球体など単純な形に置き換え、動きや表情を最小限の要素で引き出す方法を発展させた。

1931年にはデンマーク工芸の常設展示販売所Den Permanente(デン・パーマネンテ)の設立に関わり、1930年代半ばにはBredgade 47に店舗兼工房を構えた。1938年には後に「Grand Prix」と呼ばれる銀製カトラリーを発表する。装飾を抑え、手と口に自然になじむ道具として設計されたこのカトラリーは、1951年のミラノ・トリエンナーレでグランプリを受賞した。

同じ1951年に発表されたMonkey(モンキー)は、子ども用のコートフックという実用的な課題から生まれた。長い腕をフックに掛け、脚に帽子や衣服を掛けられる構造は、機能と遊びを一つの形に結びつけている。Bear、Elephant、Hippoなどの木製動物にも共通するのは、素材を誇張せず、丸みのある部材と可動する関節によって親しみを生み出す考え方である。銀、スチール、木と素材が変わっても、日常の道具を簡潔で使いやすく、少し楽しいものにする姿勢は一貫していた。


History & Works|歴史と作品

1886(0歳)

8月15日、Copenhagen(コペンハーゲン)に生まれた。

1903(17歳)

商業の修業に入り、商売や経営の基礎を学んだ。その後、金工の仕事に触れ、工芸の道へ進む。

1907(21歳)

Georg Jensen(ゲオルグ・イェンセン)の銀工房で銀細工の修業を始めた。

1910(24歳)

銀細工師の資格を取得。ドイツで貴金属工芸を学んだ後、パリで銀細工師として働いた。

1913(27歳)

コペンハーゲンへ戻り、Nybrogade 14に自身の銀工房を開設した。コペンハーゲン金細工師ギルドにも加入した。

1919(33歳)

Erna Drøge-Møller(エアナ・ドレーエ=モラー)と結婚。同年、息子Otto(オットー)が生まれ、子どものための食器や玩具を考えるきっかけとなった。

1922(36歳)

Dansk Arbejdeが開催した玩具コンペティションに参加し受賞。木製玩具の制作を本格化させた。

1929(43歳)

展覧会のためにカトラリーを制作。後のGrand Prixシリーズにつながる、機能を重視したカトラリー研究を進めた。

1931(45歳)

デンマーク工芸・デザインの常設展示販売所Den Permanente(デン・パーマネンテ)の設立に関わった。

1934(48歳)

Dachshund Pind(ダックスフンド・ピンド)をデザインした。

1935(49歳)

Bredgade 47に店舗兼工房を構えた。Zebra(ゼブラ)を発表した。

1938(52歳)

コペンハーゲンの美術工芸博物館で個展を開催し、後にGrand Prixと呼ばれる銀製カトラリーを発表した。

1942(56歳)

Royal Guardsmen(近衛兵)の木製フィギュアを制作した。

1951(65歳)

Monkey(モンキー)を発表。子ども部屋のコートフックとして考えられた機能を、可動する木製フィギュアへと発展させた。同年、1938年に発表した銀製カトラリーが第9回ミラノ・トリエンナーレでGrand Prixを受賞した。

1952(66歳)

Bear(ベア)を発表。デンマーク王室御用達の称号を受けた。

1953(67歳)

Elephant(エレファント)を発表。Grand Prixカトラリーをマット仕上げのステンレススチールでも製品化し、より幅広い層に届く日用品へと展開した。

1954(68歳)

Puffin(パフィン)を制作した。

1955(69歳)

Hippo(ヒッポ)を制作。口に鉛筆を挟めるユーモラスな実用品としてデザインされた。

1957(71歳)

Rabbit(ラビット)を制作した。

1958(72歳)

8月28日、逝去。銀器、カトラリー、木製玩具、生活用品など2,000点を超えるデザインを残した。

1991

Rosendahlが、木製玩具をはじめとするカイ・ボイスンの一部作品の製造を開始した。

2011

孫のSus Bojesen Rosenqvist(スス・ボイスン・ローゼンクヴィスト)がKay Bojesen ApSを設立し、銀器やGrand Prixカトラリーを中心とするアーカイブの継承を進めた。


Furniture|作品一覧

・Dachshund Pind | ダックスフンド・ピンド(1934)
・Zebra | ゼブラ(1935)
・Royal Guardsmen | 近衛兵(1942)
・Monkey | モンキー(1951)
・Bear | ベア(1952)
・Elephant | エレファント(1953)
・Puffin | パフィン(1954)
・Hippo | ヒッポ(1955)
・Rabbit | ラビット(1957)
・Songbird | ソングバード(1950年代に原型制作)
・Rocking Horse | ロッキングホース
・Wooden Car | 木製自動車
・Wooden Train | 木製列車
・Building Blocks | 積み木
・Grand Prix Cutlery | グランプリ・カトラリー(1938/1951年受賞)


References|参考文献・資料

Kay Bojesen 公式アーカイブ/Rosendahl Design Group/Designmuseum Danmark

PAGE TOP