KK48650 Addition Sofa | アディションソファ


About

Designer: Kaare Klint(コーア・クリント)
Manufacturer: Rud. Rasmussen(ルド・ラスムッセン) / Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Year: 1933
Material: Oak, Walnut, Leather
Size: W 92 × D 70 × H 79 × SH 37 cm


Story

KK48650 Addition Sofaは、コーア・クリントが1933年に設計し、当初はルド・ラスムッセン(Rud. Rasmussen)工房で製作された作品です。のちにカール・ハンセン&サンが製造を継承し、デンマーク家具史において最も理論的な設計思想を体現するソファとして知られています。

クリントは、人間の身体寸法と数学的比例に基づく「体系的機能主義」を提唱し、このソファをその実践的な象徴として位置づけました。92cmのモジュール幅を単位とした構成は、「Addition=加算」という名が示すように、複数のユニットを組み合わせることで自由なレイアウトを可能にしています。背もたれのあるKK48650と、背もたれのないKK48651がシリーズとして設計され、当時として画期的なモジュラーシステムを実現しました。

素材には、オークやウォルナットといった堅牢な無垢材が用いられ、座面と背もたれは上質なレザーで仕上げられています。張地には菱形パネル状のステッチが施され、内部のプリーツ構造が革の伸びを防ぐ役割を果たしています。この構造は1935年、コペンハーゲン馬具製造・内装職人ギルドの475周年記念コンペティションで受賞するほど高く評価されました。

Addition Sofaは当初、ニュー・カールスバーグ財団のオフィス向けに特注されたもので、公共空間のために設計された高耐久構造と整然とした美観を兼ね備えています。機能性と比例の調和を重視した設計思想は、後にハンス・J・ウェグナーやアルネ・ヤコブセンといった後進のデザイナーにも多大な影響を与えました。

今日でもCarl Hansen & Sønがオリジナル設計に忠実に製造を続けており、FSC認証材の使用など、現代的な環境基準にも適合しています。KK48650は、デンマーク機能主義の理念が時代を超えて継承されることを象徴する作品です。

 

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