About
Designer: Arne Vodder(アルネ・ヴォッダー)
Manufacturer: Sibast Furniture(シバスト・ファニチャー)
Year:
Material: Teak / Rosewood
Size: W 128–267 × D 106 × H 72 cm
Story
Model 227 伸張式ダイニングテーブルは、アルネ・ヴォッダーとシバスト・ファニチャーが築き上げた緊密な協働関係から誕生した代表的な作品です。1950年代のデンマーク・モダン家具が追求した「機能性と美学の融合」を象徴し、彫刻的な造形と高精度な構造技術が見事に統合されています。
ヴォッダーは、華美な造形よりも素材の質感とプロポーションの調和を重視するデザイナーでした。Model 227においても、伸張式という機能的構造を単なる実用ではなく「美の要素」として昇華させています。エッジ部分は有機的な曲線を描き、天板から脚部まで流れるように連続する造形は、木材の温かみと彫刻的な緊張感を併せ持ちます。
このテーブルの最も大きな特徴は、複合的な伸張機構です。両側のドロップリーフと中央の伸張板を組み合わせることで、コンパクトな2人掛けから最大8人掛けまでの多段階のサイズ変更が可能です。内部には真鍮製ハンガーやテレスコープホルダーが組み込まれ、展開・収納の際にも高い安定性と滑らかな動作を実現しています。
素材には主にチーク材とローズウッドが用いられました。特にローズウッド仕様は輸出用の高級モデルとして製造され、その濃密な木目と艶やかな質感がテーブル全体に上質な印象を与えています。天板には突き板技術が用いられていますが、エッジや脚部には無垢材を多用し、視覚的な重厚さと構造的な堅牢性を両立させています。
ヴォッダーとシバスト社の協働は、デザインと製造が一体となって国際的な成功を収めた好例として知られています。Model 227は、デンマーク家具が世界に進出した時代の象徴であり、同時にクラフトと工業技術の理想的な調和を体現する作品として、今日でも高く評価されています。