Mogens Koch | モーエンス・コッホ

Mogens Koch(モーエンス・コッホ)の肖像写真

About|基本情報

Lifespan: 1898–1992
Birthplace: Frederiksberg(フレデリクスベア)
Manufacturers: Rud. Rasmussen(ルド・ラスムッセン)Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)Fredericia(フレデリシア)


Story|人物とデザイン

モーエンス・コッホ(Mogens Koch, 1898–1992)は、20世紀デンマークの建築家、家具デザイナーである。家具だけでなく、建築、歴史的建築の修復、教会家具、オルガン、テキスタイルなど幅広い分野に携わった。その仕事に共通するのは、用途、寸法、材料、構造を整理し、必要な形へと導いていく姿勢である。

1917年にデンマーク王立芸術アカデミー建築学校へ入り、1925年に卒業した。その後、Carl Petersen(カール・ピーターセン)、Ivar Bentsen(イーヴァ・ベンツェン)、Kaare Klint(コーア・クリント)の事務所で実務経験を積んだ。とりわけクリントが重視した、過去の家具や建築を分析し、機能や寸法を現代の生活へ読み替える方法は、コッホの家具にも受け継がれている。

その考え方を代表する作品が、1928年に自身の住まいのために考案したMK Bookcase Systemである。正方形のモジュールを基本とし、本の大きさや収納量、空間に応じて構成を変えられる仕組みとした。家具を単体の完成品としてではなく、生活の変化に合わせて組み替え、拡張できるシステムとして捉えた点に、建築家としての思考が表れている。コッホはその後も改良を重ね、キャビネットや引き出しなどを含む収納システムへ発展させた。

もう一つの代表作が、1930年代初頭に考案された折りたたみ椅子である。古代ローマの折りたたみ椅子を参照しながら、移動と収納のしやすさを現代の家具へ置き換えた。木、キャンバス、革、真鍮といった素材の役割が明確に分けられ、折りたたむという機能そのものが構造と形をつくっている。1930年代に設計されたこの椅子は1959年に製品化され、現在はMK16 Folding Chairとして受け継がれている。

コッホにとって家具は、建築や生活空間から切り離された造形物ではなかった。1936年に設計したMK50 Wingback Chair、MK51 Armchair、MK52 Two-Seater Sofaなどの張り家具にも、素材と構造を明確に分ける考え方が見られる。一方、建築家としては歴史的建築の修復にも力を注ぎ、1936–37年にはC.F. Hansen(C.F.ハンセン)が設計したHaus Baurの修復を手がけ、この仕事によって1938年にEckersberg Medalを受賞した。

1940年から王立芸術アカデミーで教え、1950年から1968年までは建築芸術の教授を務めた。また、Steen Eiler Rasmussen(スティーン・アイラー・ラスムッセン)と王立獣医農業大学の新施設を手がけ、1950年から1971年まではRoskilde Cathedral(ロスキレ大聖堂)の建築家を務めた。歴史的な形式をそのまま再現するのではなく、用途、材料、施工方法を検討しながら現代の必要へ応答する姿勢は、家具と建築の双方に一貫している。

コッホの家具はRud. Rasmussenによって長く製作され、後にCarl Hansen & Sønへ引き継がれた。現在はFredericiaがMK Bookcase SystemやMK16 Folding Chairなどを製造している。1920年代から1930年代に生まれた設計が現在も使われ続けていることは、流行ではなく、機能、寸法、素材、構造から家具を考えたコッホの方法をよく示している。


History & Works|歴史と作品

1898(0歳)

3月2日、Frederiksberg(フレデリクスベア)に生まれた。

1917(19歳)

デンマーク王立芸術アカデミー建築学校に入学した。

1925(27歳)

王立芸術アカデミー建築学校を卒業。Carl Petersen、Ivar Bentsen、Kaare Klintらの事務所で実務経験を積んだ。

1928(30歳)

自身の住まいの収納計画から、後のMK Bookcase Systemとなるモジュール式書棚を設計した。その後も改良を続け、収納システムとして発展させた。

1932–1945
(34–47歳)

従兄の建築家Peter Koch(ピーター・コッホ)と共同で設計事務所を運営した。

1933(35歳)

後のMK16 Folding Chairとなる折りたたみ椅子を設計した。製品化は1959年。

1934–1943
(36–45歳)

王立獣医農業大学で製図教育の助手を務めた。

1936(38歳)

MK50 Wingback Chair、MK51 Armchair、MK52 Two-Seater Sofaなどの張り家具を設計した。

1936–1937
(38–39歳)

C.F. Hansenが設計したHaus Baur(アルトナ)の修復を手がけた。

1938(40歳)

Haus Baurの修復によりEckersberg Medal(エッカースベア・メダル)を受賞した。

1940(42歳)

王立芸術アカデミー建築学校のドセントに就任した。

1942(44歳)

ストックホルムで開催されたデンマーク工芸展の企画に携わった。

1945–1968
(47–70歳)

Steen Eiler Rasmussenとともに、Frederiksbergの王立獣医農業大学の新施設を設計した。

1948(50歳)

『Moderne dansk Kunsthaandværk』を刊行した。

1950–1968
(52–70歳)

王立芸術アカデミーの建築芸術教授を務めた。

1950–1971
(52–73歳)

Roskilde Cathedral(ロスキレ大聖堂)の建築家を務め、修復や教会空間に関わる仕事を続けた。

1959(61歳)

1933年に設計した折りたたみ椅子の製品化が始まった。

1962(64歳)

日本を訪問した。

1963(65歳)

C.F. Hansen Medal(C.F.ハンセン・メダル)を受賞した。

1964(66歳)

コペンハーゲン家具職人ギルドの年間賞を受賞。Kunstindustrimuseet(現Designmuseum Danmark)で回顧展が開催された。

1965–1968
(67–70歳)

王立芸術アカデミーの総裁を務めた。

1969(71歳)

王立芸術アカデミーの名誉会員となった。

1980(82歳)

Statens Kunstfond(デンマーク芸術財団)の終身給付を受けた。

1992(94歳)

ID-prisen(ID賞)を受賞。同年9月16日、コペンハーゲンで逝去した。


Furniture|作品一覧


References|参考文献・資料

Dansk Biografisk Leksikon「Mogens Koch」
Weilbachs Kunstnerleksikon「Mogens Koch」
Fredericia「Mogens Koch」「MK Bookcase System」
Arne Karlsen / Axel Thygesen, Om Mogens Kochs Arbejder, 1964

写真:Elfelt & Co. / Wikimedia Commons / CC BY 1.0(ウェブ掲載用にトリミング・サイズ調整)

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