About
Designer: Hans J. Wegner（ハンス・ウェグナー）
Manufacturer: Carl Hansen & Søn（カール・ハンセン＆サン）
Year: 1963
Material: Oak, Walnut, Beech, Ash, Plywood, Leather, Fabric
Size: W920 × D830 × H740 mm
Story
CH07シェルチェアは、1963年にハンス・J・ウェグナーがデザインし、カール・ハンセン＆サンによって製造された三本脚のラウンジチェアです。滑らかに湾曲した座面と背もたれが貝殻のような形状を成し、その有機的なフォルムから「微笑む椅子（Smiling Chair）」とも呼ばれています。成形合板による翼のような座面と背もたれは、視覚的な軽やかさと人間工学的な快適性を両立させ、独自の存在感を放ちます。
当初の発表は1963年のコペンハーゲン家具職人ギルド展でしたが、当時はあまりに未来的で大胆と見なされ、販売は限定的でした。その背景には、成形合板を大きく湾曲させる高度な技術がまだ普及していなかったこともあります。しかし1990年代になると、その彫刻的な造形美と独創性が再評価され、1998年の再生産以降は国際的に高く評価されるアイコン的存在へと成長しました。
現在もオーロプにあるカール・ハンセン＆サンの工房で製造され、熟練職人が積層木材のフレームを蒸気曲げ加工で成形し、革やファブリックで仕上げます。張り地は高級レザーからデンマークのKvadrat社製ファブリックまで幅広く選択可能です。三本脚という一見特異な構造は、精緻な設計により高い安定性を実現しており、どの角度から見ても美しいプロポーションを保っています。
CH07は、単なる座具を超えて、デンマークモダンの造形哲学と職人技術の融合を象徴する作品です。その存在感は、リビングやラウンジなどの空間に彫刻的なアクセントを加え、現代においてもなお新鮮な魅力を放ち続けています。