Svend Aage Madsen | スヴェン・オーゲ・マドセン


Story

スヴェン・オーゲ・マドセンは、デンマークモダンデザインの黄金期に活躍した家具デザイナーでありながら、その人物像は長らく謎に包まれてきました。彼の作品は世界中で高く評価されているにもかかわらず、伝記的な情報は驚くほど少なく、同名の小説家との混同も手伝って、その輪郭は曖昧なまま残されています。

彼のデザインは、デンマークモダンの中心的理念であるシンプルさ、機能性、そして職人技を体現しつつも、独自の美学を展開していました。特に収納家具やデスクにおいて、曲線を活かした彫刻的なフォルムと、日常生活に即した実用性を融合させた点が特徴です。彼の作品は、オフィスと家庭の境界を曖昧にし、戦後の新しいライフスタイルに寄与しました。

ハンス・J・ウェグナーやフィン・ユールといった同時代の巨匠と比較すると、マドセンは椅子ではなくデスクやサイドボードを中心に、機能的かつ優雅なフォルムを追求しました。その軽やかさを感じさせる曲線的なデザインや「浮遊する」天板の手法は、デンマークモダンにおける有機的機能主義の一例といえます。

彼の活動は1950年代後半から1960年代にかけてが最盛期であり、数多くのメーカーと協業しました。Falster MøbelfabrikやH.P. Hansenといった工房は、彼のデザインを形にした重要なパートナーであり、アメリカ市場ではMoreddiを通じて流通しました。こうした協業の積み重ねによって、彼のデザインは国際的に浸透していきました。

今日、スヴェン・オーゲ・マドセンの作品はヴィンテージ市場で非常に高い評価を受けています。彼の家具は単なる機能的な道具ではなく、生活と美を統合する存在として位置づけられ、その造形美は時代を超えて人々を魅了し続けています。


About

Year: 1928-2009(推定、生没年には異説あり)
Place: Aarhus(オーフス)
Manufacturer: Falster Møbelfabrik、H.P. Hansen、Sigurd Hansen Møbelfabrik、K. Knudsen & Søn、Glostrup Møbelfabrik、Karl Lindegaard


History

1950年代後半:活動を開始し、収納家具やデスクを中心にデザインを発表
1960年代初頭:Falster Møbelfabrikからクレデンザやドレッサーを発表
1960年代:H.P. Hansenと協業し、仕上げが美しい自立型デスクをデザイン
1960年代:K. Knudsen & Sønのために「カウホーン」チェアを制作
1960年代半ば:Sigurd Hansen Møbelfabrikから「浮遊する」天板を持つデスクを発表
1960年代:Glostrup Møbelfabrikから2人掛けソファをデザイン
1960年代後半:Karl Lindegaard向けにネスティングテーブルをデザイン
1960年代:Moreddiを通じて米国市場に進出し、輸出が拡大
1960年代後半:収納家具にフェルト張りの引き出しや仕上げ済みの背面を導入
1970年代:デザイン活動を縮小しつつも、一部メーカーで作品が継続的に生産
1980年代:デンマーク国内での評価は限定的ながら、北米市場でコレクターズアイテム化
1990年代:作品が再評価され、オークション市場での注目度が上昇
2000年代:没年をめぐる情報が錯綜するも、作品は一貫して高評価を維持


Furniture

・Bow Front Desk | ボウフロントデスク
・Curved Desk | カーブドデスク
・Floating Top Desk | 浮遊する天板のデスク
・Slat Back Dining Chair | スラットバックチェア
・Cow Horn Dining Chair | カウホーンチェア
・Credenza | クレデンザ
・Highboy Dresser | ハイボイドレッサー
・Sideboard | サイドボード
・Nightstand | ナイトスタンド
・Dining Table | ダイニングテーブル
・Extendable Dining Table | 伸長式ダイニングテーブル
・Nesting Tables | ネスティングテーブル
・Vanity Table | ドレッシングテーブル
・Two-seat Sofa | 2人掛けソファ
・Armchair | アームチェア
・Writing Desk SH180 | ライティングデスク SH180
・Desk Model 200 | デスク Model 200
・Bookshelf Integrated Desk | 書棚一体型デスク
・Thread Leg Desk | スレッドレッグデスク
・Side Table | サイドテーブル
・Coffee Table | コーヒーテーブル

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