About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: RY Møbler(ロユ・モブラー)
Year: 1954
Material: Oak
Size: W500 × D265 × H340 mm
Story
RY22は、ロユ・モブラーが手がけたウェグナーの壁掛けラック群のなかでも、奥行きを確保して「置ける量」と「見え方」を両立させた中核的なモジュールです。壁面に対して棚が薄く浮くように見えるのに、内部には十分な受け止めがあり、収納を“家具”として成立させるというウェグナーらしい設計の意図がはっきり表れています。
構成は、左右の側板と棚板を基本に、前後方向の剛性を補助する水平材によって輪郭を整える考え方です。側板は単なる支持材ではなく、外形のプロポーションを決める「建築の壁」として振る舞い、空間に対して輪郭線を与えます。結果として、載せた物の量が増えても棚全体の印象が散りにくく、背景としての静けさを保てる点がこのシリーズの強さです。
同時掲載されるRY21〜RY24の体系からも分かるように、ウェグナーは用途の違いを「形を変える」のではなく、「寸法と構成密度を変える」ことで解決しています。RY22はその中で、書籍や器物のようにある程度の奥行きを要する対象を無理なく受け止めつつ、壁面の軽さも損なわない位置に置かれたモデルだと捉えられます。
素材はカタログ上オーク仕様として提示されており、エッジのまとめ方や面の揃え方によって、木の塊感ではなく“面で構成された部材”として見せる方向に寄せられています。装飾を足すのではなく、接合と面の精度を前提に成立させるところに、ロユ・モブラーの製作技術とウェグナーの合理性が重なっていると言えます。
壁掛けラックは、床に置く収納と比べて空間のリズムを作りやすい一方、形が強いと主張が前に出やすい道具でもあります。RY22は、輪郭を持ちながらも線と面の整理だけで成立しているため、ディスプレイの内容に主役を譲り、室内の“背景の秩序”として機能しやすい設計です。これは椅子の名作群とは別の軸で、ウェグナーの建築的な感覚を端的に示す要素になっています。
