FD209 Diplomat Chair | ディプロマットチェア


About

About

Designer: Finn Juhl(フィン・ユール)
Manufacturer: France & Daverkosen(フランス&ダヴァーコセン) / France & Son(フランス&サン) / House of Finn Juhl(ハウス・オブ・フィンユール)
Year: 1960s
Material: Teak, Mahogany, Brazilian Rosewood, Leather, Wool
Size: W69 × D63 × H81(SH43cm)


Story

フィン・ユールが1960年代に発表した「ディプロマットチェア」は、彼のデザイン哲学が成熟期に達したことを象徴する作品です。初期作品に見られる彫刻的な曲線を受け継ぎつつも、全体はよりシャープで洗練されたフォルムに昇華されています。

最大の特徴は「浮遊感」を伴う構造であり、フレームから独立した座面と背もたれが軽やかな印象を与えると同時に、身体を自然に支える快適さを実現しています。アームレストは有機的なカーブを描きながらもフレームと一体化し、外交の場にふさわしい落ち着きと威厳を備えています。

素材にはチークやマホガニー、さらに希少なブラジリアンローズウッドが用いられ、張地はウールやレザーが選択されました。ローズウッド仕様のものは現在CITESによって取引が制限されており、ヴィンテージ市場では特に高い評価を得ています。

この椅子の名が示す通り、デンマークの海外大使館や国連本部の会議場に導入され、デンマークデザインを外交の舞台で象徴する存在となりました。ユールは、工芸的な一点物の枠を超え、工業化による量産においても芸術性と品質を両立できることを証明しました。

今日ではHouse of Finn Juhlによって復刻生産が行われ、日本国内でも朝日相扶製作所の職人たちによって製造されています。外交官の名を冠したこの椅子は、国際舞台での役割を果たすと同時に、フィン・ユールの普遍的な美学を現代に伝える存在であり続けています。

 

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