フィン・ユール「45ソファ」誕生80周年を迎え復刻

ハウス・オブ・フィン・ユールが限定80台のファーストエディションを発表


デンマークを代表するデザイナー、フィン・ユール(Finn Juhl)が1945年にデザインした名作「45 Sofa」が、誕生80周年を迎えて再び生産されることが発表されました。製造を手がけるHouse of Finn Juhl(ハウス・オブ・フィン・ユール)は、世界限定80台のファーストエディションとしてリリースします。ユールと名工ニールス・ヴォッダー(Niels Vodder)の協働により生まれた45シリーズは、木材の構造限界を超える挑戦として高く評価され、デンマーク・モダンを象徴する作品として知られています。

45 Sofaは同年発表の45 Chairと同じ構造原理をもち、木製フレームと張り部を分離した構造により、背と座が宙に浮かぶような軽やかさを表現しています。キャビネットメーカーではなかったユールは、既成概念にとらわれず自由な発想で設計を行い、そのアイデアを実現するためにヴォッダーの精密な木工技術を必要としました。今回の復刻では、オイル仕上げのウォルナット材に、テキスタイル「Watercolour」(全32色)またはレザー「Elegance」(ウォルナット・ブラック・ナチュラル)の張地が選択可能です。

シートをゆるやかに二分する曲線や、細部まで磨き上げられた接合部など、ユール特有の有機的な感性が随所に感じられます。各ファーストエディションには、フレーム裏にシルバー製エンブレムと限定番号入りの証明書が付属し、正規販売店を通じてのみ販売されます。寸法はH85×W116×D73 cm(座面高 44 cm)。将来的にはオーク材仕様や多様な張地バリエーションも展開予定とされています。


45 Sofaとは

1945年、フィン・ユールがコペンハーゲンで開催されたキャビネットメーカーズ・ギルド展に出展するために設計したソファです。45 Chairの造形思想を引き継ぎつつ、2人が快適に座れるサイズに拡張されました。背と座を支える木のフレームは、構造体と意匠を分離した革新的な設計であり、当時の家具制作の常識を覆したといわれています。マスタ―キャビネットメーカーであるニールス・ヴォッダーがこの構造を実現し、曲線と精緻な接合が融合した独自の美しさを完成させました。今日では45 Chairとともに、デンマーク・モダン黄金期を象徴する作品として世界的に評価されています。


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